大手銀行に勤務する女性が、“将来安泰”のキャリアを捨ててアイドルに転身したワケ「地下アイドルでしょ?ってバカにされるけど」
会社員の生活がルーティンに「このまま定年を迎えるのかなあ」
入社2年目には、あるプロジェクトのリーダーを任されたほど。 銀行員の仕事は一般的に「将来安泰」というイメージがある。折原さんも仕事に対して「何の不満もなかった」が、心の奥底には“歌いたい”という気持ちが常に引っかかっていたそうだ。 「歌と離れる生活に慣れるだろうと思っていましたが、ぜんぜん慣れなかったんです。給料も良くて週休2日、残業もなくて人間関係もいい。幸せでした。 幸せだったんだけど、会社員の生活がルーティンになると、“歌いたい”と思ったままで定年を迎えるのかなあって。そう考えたときに、まわりが思う正しい道を辿っているだけなんて、“そんな人生に意味はあるのか?” と自問自答するようになったんです」 それからは、あえて見ないようにしていたオーディションサイトをチェックする日々だったという。
自分の夢は「“今しかできないこと”なんや」
「オーディションの募集要項を見てハッとしました。私はアイドルやヴォーカルには興味がなく、ただ歌える場所が欲しかったんですが、すべての募集要項に“年齢制限”があったんです。そこで気がついたんです。私のやりたいことは本当に“今しかできないこと”なんやって」 しかし、歌う道を選ぶということは――。 折原さんは、ここまで育ててくれて、メガバンクに就職した“今”を喜んでくれている家族を裏切ることになってしまうと思った。 「申し訳ない気持ちがありつつも、それでもやりたい!っていう気持ちが勝って。今までの人生、成功するかわからない道を選んだことがないから、不安で仕方がなかったです」 その不安が体調にもすぐ現れたという。 「通勤電車で急にクラっときたんです。それで降りたホームで『このままじゃダメになってしまう。死ぬ間際に後悔したくない』と強く思いました」
先が何も決まっていない状態でメガバンクを退職
こうして退職を決意した折原さんは、退職届を提出したという。 「オーディションも受けておらず、先のことが何も決まっていない状態で退職届を出して、上司に『歌がやりたいから辞めます!』って伝えると、案の定『考え直せ』ということで、すぐには受理してもらえませんでした(笑)」 退職に向けた動きと並行して、今のグループのオーディションを受け、面接では「退職届を出して臨みました!」と意気込みを語った。 「今思えば、社長は逆にプレッシャーというか、そんなことを言われて怖かったかもしれませんけど(笑)」 職場にもようやく退職届を受理してもらえたそうだが「歌がやりたいなんて聞きたくないよー」と、冗談混じりに最後まで引き止められたそうだ。 「退職することも、歌の道を目指すことも、ブレーキをかけて欲しくないから、親や友人には最後まで相談しませんでしたね」