Xで知り合った「投資の先生」に従い、海外FXで月利10% 信じた女性を待っていたSNS型投資詐欺の手口とは
SNSで投資家や著名人をかたって投資に勧誘し、金銭をだまし取る手口は「SNS型投資詐欺」と呼ばれ、2023年から多発している。警察庁が被害状況を初めて集計した同年の認知件数は2271件、被害額は約277億9千万円となった。今年1~3月の認知件数は1700件、被害総額は計約219億3千万円と、前年を上回るペースで急増している。 2023年と今年1~3月の被害計3971件のうち勧誘側が詐称したとされる肩書が判明したのは半分ほどで、多い順に「投資家」「その他著名人」「会社員」「会社役員」と続いた。 1件当たりの平均被害額は約1200万円超。投資詐欺の入り口となるSNSはフェイスブックやインスタグラムが多く、その後の連絡はラインに移行する場合が大半を占めた。 ▽無断で広告塔にされたZOZO前沢さん「なめてんの?」 4月には茨城県内の女性が経済アナリストの森永卓郎さんをかたるラインアカウントで勧誘されるなどして、過去最多の被害額とみられる約7億円をだまし取られたことが判明した。詐欺に遭ったのは、インスタグラムで見つけた投資広告にアクセスしたことがきっかけだった。
SNSの投資広告には、森永さん以外にも衣料品販売大手ZOZO(ゾゾ)創業者の前沢友作さんや実業家の堀江貴文さん、ジャーナリスト池上彰さんら著名人の名前も無断で悪用されている。 この投資広告を巡る動きもあり、インスタグラムやフェイスブックで前沢さんら著名人をかたる投資広告によって金銭をだまし取られたという男女4人が4月下旬、広告の内容が真実かどうかの調査を怠ったとして、両SNSを運営する米IT大手メタ(旧フェイスブック)に損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。 原告側弁護団によると、SNSの投資広告を巡って運営企業側に賠償を求める訴訟は初めてとみられる。 これに先立つ4月中旬、メタは「著名人になりすました詐欺広告に対する取り組みについて」と題する声明を発表。「詐欺広告をプラットフォーム上からなくすことは、必要不可欠なことです。詐欺対策の進展には、産業界、専門家や関連機関との連携による社会全体でのアプローチが重要だと考えます。その中で役割を果たすべく注力する所存です」と述べた。