Xで知り合った「投資の先生」に従い、海外FXで月利10% 信じた女性を待っていたSNS型投資詐欺の手口とは
その後、徐々に投資額を増やしても安定して月利10%の収益が得られたため、やがて月10万円を振り込むようになった。常に取引に勝てるわけではなかったが、そのことが逆に信用を強めた。 チャット上は「お金が増えました! Manakaさんありがとうございます」という参加者たちのメッセージで埋め尽くされた。投資以外の節税対策の話でも盛り上がるなど、「投資を一緒に頑張っている仲間」という意識が生まれていた。アユミさんは次第に、より高額を投資してもいいかと思い始めていた。その機会はすぐに訪れた。 ▽意を決して振り込んだ200万円が消えていく アサシンFXへの投資が始まって半年たった2023年6月ごろ、振り込んだ額の倍の取引ができるという「ボーナスイベント」がチャット上で案内された。ただし、この期間中に口座から引き出すと、倍になるボーナスは消えてしまうという説明があった。 安定してお金は増えているが、物価高は深刻になっていた。100円台で買えた卵パックは一時300円台に。「もう日本経済に頼ることはできない」。手持ちのお金を増やそうとアユミさんは200万円を一度に振り込んだ。
ところが入金して間もない7月3日。いつものように取引が始まると、画面に表示された口座の金額が減り始めた。負けることは度々あったので気にしなかった。だが再び画面を見ると、負けが続いていた。あっという間に表示が0円になった。 チャット上では、参加者からのメッセージが乱れ飛んだ。「何が起きたのか」「説明しろ」「詐欺だったのか」。Manakaが「確認するから落ち着いて」と呼びかけていた。アユミさんは「何とかなるのでは」と信頼していた。しかし、1週間後にManakaのアカウントが削除され、そのまま音信不通となった。 だまされたのか―。アユミさんは、およそ1年間もやりとりを重ねたのに裏切られたとショックを受けた。人間不信になり、ツイッターなどの交流サイト(SNS)からは離れた。「信用しきっていたのに詐欺だった」。深いため息とともに振り返った。 ▽2023年から急増、被害は1件1200万円超