キレる表情がリアルすぎる…安達祐実”祐子”を追い詰める悪人たちの憎めなさとは? ドラマ『3000万』 第4話考察
再びの大金チャンスに目が眩む祐子
時を同じくして、祐子は蒲池が沈んだ湖でソラと再会。ソラから祖母が盗まれたお金を取り返すために闇組織に入ったことを打ち明けられる。だが、ようやく取り返したお金を実家の母・志穂(片岡礼子)に渡すも、「それを持って行くべき場所に行きなさい」と突き返されてしまったソラ。必要のなくなったお金をソラにあげると言われ、祐子は再び目が眩む。 元の生活に戻ろうと決意したのは本当だった。けれど、義光が仕事を辞めて貯金にまで手を出したせいで生活は以前より苦しく、職場では余裕のなさからクレーマーに怒号を浴びせてしまい、上司の初山(持田将史)からそれとなく辞めることを進められている。お金さえあれば、こんな生活から抜け出せる…藁にもすがる思いで手を伸ばしかけた瞬間、坂本と長田が2人の元にやってくる。 坂本に認められたい一心で必死にソラを殴る長田。その光景を目の前で見せられている祐子はすっかり腰を抜かしていた。それまで罪を共有するソラとの間に不思議な友情が芽生えかけていたが、極限の状況に陥った人間はいともたやすく人を裏切る。 坂本に「私、知らないんです!ほんとに関係ないんです!」と必死に許しを請うする祐子の姿は滑稽だが、人間という生き物の狡賢さをありありと炙り出していた。しかし、そんな言い訳が通用するはずもなく、「きっちり落とし前つけてもらうんで」と坂本に告げられた祐子。
全てを察してしまった息子の純一
呆然と自宅に戻ると、奥島と野崎が純一(味元耀大)に聞きたいことがあるとやってくる。「あの日、あの事故に遭った女の人はほんとに何も持ってなかった?」と野崎に聞かれ、純一は驚いたことだろう。 あの日、持って帰ってしまったお金は両親が警察に返してくれたと思っていたのだから。合わせる顔がなくてつい目線を逸らした祐子と義光を見て、全てを察した純一。 2人が必死で働いて買ってくれたと思っていたピアノが盗んだお金で買ったものと知り、ショックを受けながらも両親を守るために純一は嘘をつく。 失望、哀しみ、怒りと純一の中で一気に渦巻く感情を発露させる味元耀大の演技に心を締め付けられた。その様子に奥島も異変を感じた様子だ。 警察と闇組織、双方から追い詰められ、さらには息子からの信頼も失ってしまった祐子と義光。真実が明るみになるのも、きっとそう遠くはないだろう。だが、本作は全8話。残り4話で、果たしてどれだけ私たちを裏切ってくれるのか、楽しみで仕方がない。 【著者プロフィール:苫とり子】 1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
苫とり子