キレる表情がリアルすぎる…安達祐実”祐子”を追い詰める悪人たちの憎めなさとは? ドラマ『3000万』 第4話考察
「シャバに出るの、どうせなら最短距離でいきたくない?」 ベテラン刑事・奥島の手腕
一方、「緩和」を担う奥島は野崎とソラの行方を追う。その中で、広域連続強盗事件の運転手役を務めていた成田、本名・高山(浦上晟周)を逮捕することに成功した2人。 取り調べで野崎が厳しく詰めても、一切口を割ろうとしない高山に、奥島はすでに証拠は揃っていることを説明した上で「罪を償ってシャバに出るの、どうせなら最短距離でいきたくない?」と語りかける。口調は穏やかだけど、その言葉の威力は強い。 それに説得され、高山はソラが3000万を盗んで逃げる前に「とられたものを取り返すまで(この仕事を続ける)」と話していたことを明かす。少しずつソラの動機が見えてきた。 「怒りを我慢してたらシケた面になる」と長田に語っていた坂本。もし彼が、ベテラン刑事にもかかわらず、広域強盗事件の合同捜査本部から出向してきた若手刑事の野崎の尻に敷かれている奥島の姿を見たらきっと鼻で笑うだろう。だけど、奥島はただヘラヘラしているわけではないことがわかる。 仕事詰めでプライベートがおろそかにしがちな野崎に人生の楽しみ方を教えるために自宅に呼んだ奥島。そこで野崎が目にしたのは、若くして病気で亡くなった奥島の息子・元樹(島田惇平)の遺影だった。 元樹はもともと、祐子の夫・義光(青木崇高)ともう一人のメンバー・シン(ワタナベケイスケ)と3人でバンドを組んでいたという。だか、売れ始めた時にシンが薬物で逮捕され、2人でまた一から頑張ろうとしていた矢先に元樹の病気が見つかった。奥島は当時を振り返り、「今でも時々考えるよ。どうしてシン君はあんな馬鹿なことをしちまったのかなって」と野崎に語る。
上司として対極な坂本と奥島
現実でも今、闇バイトによる強盗が相次いでいるが、高山や長田のように普通の若者がお金欲しさに犯罪に手を染めてしまうという状況がある。薬物に手を出したシンも、3000万に目が眩んだ祐子や義光もそう。 人間はどれだけ普段真面目に生きていても、魔が差してしまう瞬間があるのだ。それを奥島は痛いほどわかっているからこそ、罪を犯した人間に対して“犯罪者”ではなく“人”として接しているのではないだろうか。そういう寄り添う気持ちがあるから、高山の時みたいに自白もうまく引き出せる。 怒りで人を従わせる坂本とは正反対のやり方だ。余談だが、2人きりにならないように、わざわざ義光がいる時に野崎を呼んでいるところも理想の上司としてポイントが高い。 そんな奥島に対する野崎の尊敬が高まる中、別の刑事が2人に協力したいと過去に担当した強盗事件の情報を持ってくる。その事件の2か月後、お金を盗まれたショックで自殺した女性の孫娘がソラだった。