2023年度の不動産売却は94社 譲渡損益総額は過去最高額を計上
業種別 卸売業が最多の13社
業種別では、卸売業が13社で最多だった。本社や事務所の移転・統合など、業務環境の見直しに伴い、経営資源の有効活用を図るため売却に至った企業が多かった。13社のうち、最新期の最終利益が赤字の企業は1社(構成比7.6%)にとどまる。 2位は小売業の10社で、このうち最新期の最終利益が赤字の企業は2社(構成比20.0%)だった。 前年度に最多だったサービス業は4社(前年度15社)に減少した。 ◇ ◇ ◇ 2024年3月に国土交通省が発表した令和6年地価公示では、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも3年連続で地価が上昇し、上昇幅も拡大した。インバウンド需要の回復が著しい観光地や、大手半導体メーカーの工場が進出するエリアで地価の上昇が目立つ。 不動産を売却した上場企業は減少したが、譲渡損益の総額は5,680億700万円と2001年度以降で最高額を更新した。地価上昇を背景に好条件で売却した企業が多かったとみられる。 本社・本部移転を理由に不動産を売却した企業は10社(前年度4社)と倍増した。働き方改革や改善を目的とした売却がトレンドとなっているようだ。東京証券取引所が資本コストや株価を意識した経営の実現を要請しており、資本効率の向上を目的とした売却もみられた。こうした戦略的な体質強化の動きが続くと、今後不動産の売却件数が増える可能性もある。