ニューウェイとの交渉を認めたフェラーリF1代表。“協業”に対する見解に相違があったと明かす
フェラーリF1のチーム代表フレデリック・バスールは、エイドリアン・ニューウェイをマラネロに引き寄せようとしたフェラーリの努力が、結局は実を結ばなかった理由について概要を明らかにした。 【写真】スクーデリア・フェラーリに加入したロイック・セラ(左)とジェローム・ダンブロジオ ニューウェイのレッドブル離脱が発表された後、フェラーリは彼と契約する有力候補と見なされていたものの、最終的にアストンマーティンに敗れたようだ。ニューウェイは推定年間2500万ドル(約35億8700万円)の複数年契約でアストンマーティンに加入する予定であると報じられており、今週の第17戦アゼルバイジャンGPを前に契約が発表されると見られている。 先週、フェラーリがアストンマーティンとの高額のオファー競争を行うことを渋ったため、ニューウェイ獲得を断念したとの報道があった。このことが、フェラーリがニューウェイとの交渉から手を引くことを決めた理由のひとつとされている。一方でバスールは、協業に対する見解について、チームとニューウェイの間に根本的な違いがあったことが、両者が合意に達しなかった原因だったと示唆している。 「ニューウェイ? 確かに話し合いがあった」と、バスールはフランスの『L'Equipe』とのインタビューで語った。 「しかし、おそらく彼の考えは、私が彼のために考えていたものとは異なっていた」 ニューウェイはこれまでに、ウイリアムズ、マクラーレン、レッドブルで12回のドライバーズタイトルと13回のコンストラクターズタイトルを獲得した比類ない経歴を持ち、フェラーリの技術部門にとってゲームチェンジャーとなる可能性があると見られていた。だがバスールは、ニューウェイの優れた能力を認めつつも、彼のビジョンはフェラーリがオファーするつもりだったものよりも、創造面の完全なコントロールに向けられていたかもしれないとほのめかした。話し合いが決裂したにもかかわらず、バスールは将来の協業のための扉を開けたままにしていた。 「いつか合意点を見つけることができるかもしれない。しかし私が言ったように、チームの結果を変えるのは個人ではない。グループは常に個人よりも強い」 ニューウェイを逃したのは打撃だと考えられるかもしれないが、フェラーリは組織を強化するための動きを見せている。スクーデリアは、元メルセデスのパフォーマンスディレクターであるロイック・セラを起用し、彼は10月1日からフェラーリのシャシー担当テクニカルディレクターに就任する。 「彼の強みは、最高のレベルで多くの時間を過ごした経験豊富な人物だということだ」と、バスールはセラについて語った。 フェラーリはまた、メルセデスからジェローム・ダンブロジオを副チーム代表として迎え入れ、チームのリーダーシップ構造をさらに強化している。 「私にとって、彼のような知識を持った誰かがいることが重要だった。レースの世界で、彼はドライバー、チーム代表、CEOを務めてきた」 これらの注目の人事は、フェラーリのシャシー担当テクニカルディレクターだったエンリコ・カルディレの離脱を含む、チーム内の広範にわたる変化のなかで行われている。フェラーリの技術開発における重要人物だったカルディレは、7月にチームを去り、2025年にニューウェイとともにアストンマーティンに加わる予定だ。 バスールはカルディレの辞任を認め、去っていくエンジニアとの個人的なつながりについて「彼とはよい関係を築いていたので、個人的には彼がいなくて残念だ」と言及した。 フェラーリの改革は、大いに期待されていた7度の世界チャンピオンであるルイス・ハミルトンの加入と時を同じくして行われている。ハミルトンは来年の初めにチームに加わる予定だ。ハミルトンのメルセデスからの移籍はフェラーリを再活性化させると考えられているし、セラとダンブロジオとの再会は、チームを選手権のトップに押し上げる相乗効果を生み出すかもしれない。 [オートスポーツweb 2024年09月10日]