「中抜きしてる」「監査必要」と非難も…2次避難所での食事提供 「予算と人員を考えると難しい」現実とは
石川県内の金沢市以南、隣県のホテルや旅館、民泊などの宿泊施設の中には、2次避難先として現在も被災者を受け入れています。そういった施設への非難に対し、温泉旅館の経営者が実態への理解を訴えています。 【写真】被災者へのやさしいメッセージ! 富山県南砺市で温泉旅館「法林寺温泉」を経営する中川さんは、能登半島地震で被災した人の受け入れを1月から開始しました。そんななかで国会議員が2次避難先の宿泊施設で出された弁当のおかずの少なさを指摘した記事を発見。ほかにも、食事がなく2次避難所への移動を断念したという内容の報道もありました。 中川さんの宿は「素泊まり」を選択しての2次避難所ですが、食事付きへの宿のおかずに対して、「こんな食事でいいのか」「中抜きしてるんじゃないか」「監査必要」といったコメントを見て、宿泊施設そのものが「非難対象になってるのにショック」を受け憤りを覚えたそう。その背景や受け入れの経緯について聞きました。
施設への支給額は? 計算してみると…
「法林寺温泉」は富山県の南西部にある南砺市にある温泉旅館で、全14室を中川さんと共同経営者、数人のスタッフで切り盛りしています。地震により温泉に砂が上がるなどの被害がありましたが、無事復旧。 1月15日に石川県の要請を受けた富山県・旅館組合・南砺市から、それぞれFAXやメールで2次避難受け入れ可能かどうかの問い合わせがあり、「1日3食付き」と「素泊まり」の条件があり、中川さんは「素泊まり」で受け入れると回答しました。 提示された施設への支給金額は、1泊の上限は3食付きで上限1人1万円、素泊まりは上限1人8000円。「観光客とは異なり1日中滞在されることと、人員と予算で考えると、協力できるとしたら素泊まりという判断でした」と中川さん。 そういった背景から、「国会議員の方も、全く事情を分からないまま問題にしていることが問題ではないかと。宿への支給金額が食事付き上限1万円、食事なしで8000円は確認すれば事前に調べられる。予約サイトを見れば、通常は1泊2食付きで1万円前後、むしろそれ以上の料金設定が多いとわかるはず」。 普段なら2食のところが3食に増えれば、人件費・光熱費などの費用とともに宿への負担は大きくなります。「素泊まりと3食付きの差額は、単純に引けば2000円。3食2000円で、2000円を3で割ったら約666円、消費税を抜いたら600円になるのです。しかし、仕入れや調理への人件費などを考えると600円分をそのまま出せるわけがないのです」。