「球団から何も言ってこないんや…」 阪神「岡田監督」肉声が明かす退任のドロドロ 角会長は続投を希望、しかしタイガース側の“回答”は…
あと1年やってもいい
前述の角会長の強い勧めもあり、実はこの頃の岡田の気持ちは続投に傾いていた。「会長がそこまで言うのなら、あと1年やってもいいかな」。周囲にそう語っている。また、監督の後継問題もこの動きに関係していた。岡田は自身の後継にはやはり早稲田大学出身の鳥谷敬の就任を望んでいた。角会長も同様だった。 「後継者を育てることも会長から言われている」。岡田はそう語っている。 監督就任以来、岡田は鳥谷にコーチ就任を要請してきたが、鳥谷は「もう少し外で過ごしたい」と拒み続けてきた。それでももう1年、自分が指揮を執ることになれば、鳥谷もコーチとして入り、将来へと繋げられる――岡田にはそんな青写真があったという。
俺に監督を続けさせたくない
しかし、そんな構想は9月に入ってから崩れた。 「球団から何も言ってこないんや」 この時期、岡田は周辺にこう漏らしている。角会長からは続投を勧められているのに、肝心の球団自体から、打診もなく、意向も聞かれていないというのだ。 「よっぽど俺に監督を続けさせたくないんやな」 岡田はそう感じ取ったという。岡田には苦い経験がある。オリックスの監督時代の2012年、彼は何の前触れもなく、紙切れ1枚で“休養”させられてシーズンを終えた。以来、球団フロントの動きについてはナーバスだ。 さらに、だ。球団が岡田退陣を前提に、藤川球児SAを来シーズンの監督に据えるべく動いていることもわかった。こうした一連の動きを、岡田は球団による自らの「続投拒否」と捉えた。一旦は続投も、と傾いた気持ちはまた退任へと戻っていった。岡田は契約通りで退くことを角に伝えた。慰留の要請がない球団に対し、来期のことまで考える気力はもうなかった。 角会長も角会長で、2年前と同じように、阪神に無理やりでも岡田契約延長を呑ませられない事情があった。2年前、岡田を監督に据えたのは、完全に阪急側、というより角自身の意向だ。いくらグループのトップとは言え、球団の経営を行うのはあくまで阪神側というのが筋であり、阪急側の意向を通すのはイレギュラーな話だ。そのため、角会長は今回だけは人事権を私にくれ、と言って、岡田就任を実現させた。その“借り”もあり、岡田の契約を再度、阪神側にトップダウンで指示することは出来なかったのである。