知事は3号機計画凍結を堅持…エネルギー基本計画原案、原子力回帰が鮮明 薩摩川内での新設も「可能」、地元は賛否交錯
経済産業省が17日示したエネルギー基本計画の原案は、再生可能エネルギーとともに原発の最大限活用を鮮明にした。建て替え要件を緩和し九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)での新設を可能にする内容も明記。地元からは賛否の声が上がり、塩田康一知事は公約に掲げる3号機の計画凍結を堅持する考えを示した。 【写真】〈関連〉九州電力川内原子力発電所1号機(左)と2号機=薩摩川内市久見崎町(2023年11月撮影)
原案では、廃炉を決めた原発を持つ電力会社に対し、別の自社原発での「建て替え」を容認、地域の理解を前提に具体化を進めていくと踏み込んだ。九電は玄海原発1、2号機(佐賀県)の廃炉作業中だ。 塩田知事は川内原発が明示されたわけではないとしつつも、運転延長を容認した昨年の経緯から「鹿児島はエネルギー政策に一定の役割を果たしている。地域の理解を得られる状況とは思えない」と指摘。再エネの主力電源化を好感する。 地元の薩摩川内市では歓迎と警戒が交錯した。「原発の新設は以前から要望していた」と説明するのは、同市原子力推進期成会の橋口知章会長(69)。原発立地に伴う経済効果に加え、九州は半導体産業で需要が高まるとし、「経済の活性化や発展には電気が必要だ。原発の最大限活用の方針を支持する」。 一方、川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子会長(76)は「新型の原発を造ったとしても核エネルギーを使う危険なものに変わりはない」と反発する。不穏な安全保障環境にも触れ、「原発を攻められたらおしまい。活用では国民を守る姿勢から離れていく」と訴える。
同市の田中良二市長は「現時点では原案であり、今後も引き続き国の動向を注視していく」と慎重に受け止めた。九電広報は「現時点で決まったものは何もない」としている。
南日本新聞 | 鹿児島