砂むし温泉施設が3年ぶりの営業再開 自然災害を乗り越えて 砂をかけるスタッフの育成も 鹿児島・指宿市
鹿児島テレビ
砂むし温泉が国内外の観光客から人気の鹿児島県指宿市で、自然災害を受け休館していた砂むし温泉施設が12月5日、3年ぶりに営業を再開しました。 新たな体制でおもてなしに磨きをかけるスタッフの思いを取材しました。 薩摩半島の南端で指宿市が運営する「山川砂むし温泉 砂湯里」です。 ホテルなどが多い市街地から離れた、自然豊かな場所にあります。 12月5日「砂湯里」に観光関係者らが集まり、3年ぶりの営業再開を祝いました。 2021年11月、大雨の影響などで「砂湯里」の後ろの斜面が崩れ、浴場などが被害を受け営業できなくなってしまいました。 復旧工事を終え2024年10月に営業を再開する予定でしたが、9月の台風による高潮で、浴場が流され再び延期されます。 指宿市観光施設管理課・谷口義郎さん 「来週12月5日からの再開に向け、いよいよ本番が近づいてきました。本番だと思って取り組みたいと思います。よろしくお願いします」 営業再開にあわせて、新たなスタッフの研修が行われました。 災害前の「砂湯里」は指宿市が民間企業に業務を委託していましたが、再開後は指宿市の直営となり、砂をかけるスタッフの養成が必要になりました。 大城哲也記者 「営業再開を六日後に控えたきょうも、本番さながらに砂かけの研修が行われています」 スタッフのほとんどは、砂かけの初心者です。 民間企業から残った2人が指導します。 砂かけで気をつけるのは、入浴客のやけどです。 足の裏で砂の温度を確認するよう教えます。 ベテランの砂かけの担当・有村睦夫さん 「同じ所を掘っていたらどんどん熱くなるので、分かりますか?だから、足で冷たいのと交ぜながらかけた方がいい」 新人の砂かけ担当・間藤智美さん 「体の使い方で中腰になるので、コツもいるのでなかなか難しい。コツを覚えればうまくなるかも」 指宿市観光管理施設課・園田浩一郎課長 「『やっとここまできた』という思い。新しいスタッフも入り 前からいるスタッフと色々コミュニケーションを図りながら、お客様を温かい心で迎え入れられるように準備を進めている」 そして12月5日、浴場に湯煙も上がり、客を迎え入れる準備が整いました。 ベテランの砂かけのスタッフ・石塚明則さん 「源泉が83℃、砂場が67℃まで上がっている。天気も穏やかでいい砂場ができると思う」 「どうぞ、こちらから入ってください」 再開を待っていた入浴客が次々に訪れます。 研修を終えたスタッフらが丁寧に砂をかけます。 「(砂の)熱さはどうですか?大丈夫ですか?良い感じですか?」 リラクゼーション効果があるとされる砂むし温泉、入浴客は砂の温かさを感じ、波の音を聞きながら、ここでしか味わえない時間をすごします。 入浴客 「海の音が気持ちよくて寝ちゃいそうです」 「(スタッフの)皆さんベテランのようにうまい砂かけで非常に安心した。リフレッシュできそう」 スタッフはさらに技術と接客の質を高めようと意気込んでいます。 新人の砂かけスタッフ・浦郷悟さん 「コミュニケーションも今から少しずつ練習して、機会を増やして慣れていきたい。丁寧にできたと思う。ホッとしました」 指宿市観光施設管理課・谷口義郎さん 「指定管理者という民間から引き継ぎ、本当にノウハウのないままきたが、地域にしかない観光資源を大事に地域の活性化へつなげたい」 自然災害を乗り越え、新たにスタートした「砂湯里」は、温かいおもてなしで客を迎えています。 「砂湯里」の入浴料金は、大人が1100円、小学生以下が600円です。 お正月をはさむ12月28日から2025年1月5日までは、特別料金として大人が1500円、小学生以下が750円となります。 指宿市に9カ所ある砂むし温泉は、全国75の温泉地がエントリーした温泉総選挙の「湯治ウェルネス部門」で1位を獲得しています。
鹿児島テレビ