注目の日本人対決となる世界戦の計量は、名古屋の地元局のスタジオ内で生中継で行われた。左が王者木村、右が挑戦者の田中

WBO世界フライ級タイトルマッチ（24日・名古屋・武田テバオーシャンアリーナ）の調印式並びに記者会見が23日、名古屋中区のCBC（中部日本放送）で行われ、前日計量が、同局のスポーツ情報番組「スポーツLIVE High FIVE!!」内で生中継された。3度目の防衛戦に臨む王者の木村翔（29、青木）、挑戦者で世界最速タイでの3階級制覇を狙う田中恒成（23、畑中）も共にパス。番組内では、木村がギャグを返すなどトークでの“前哨戦”は圧勝した。では肝心の注目の日本人対決の結末はどうなるのか？　V3を狙う“雑草王者”木村のパワーか、それとも11戦無敗の“エリート”田中のスピードか。予想の難しい激戦になりそうだ。 　異例の計量生中継。明日の世界戦を放映する地元のCBCが番宣を兼ねスポーツ情報番組「スポーツLIVE High FIVE!!」内で企画したもの。スタジオ内に計量用の秤が運びこまれて行われた。王者の木村は、200グラムアンダー、挑戦者の田中も100グラムアンダーで互いにパス。通常、計量後は、すぐさま水分補給や簡単な食事を取るが、この日は、番組を持たすための編成上、その前に司会者との問答があり「この後、何を食べるのか？」と聞かれた木村は、「口がかさかさで滑舌が悪かった」と、名古屋名物の鰻料理「ひつまぶし」を「ひさまぶし」と言い間違えた。 　スタジオを爆笑に包んだのは、番組のレギュラーメンバー、お笑いコンビ「ますだおかだ」岡田圭右さんの長女、結実さんにカメラをズーム、司会者から木村が「結実ちゃんのファンらしいですね？」とつっこまれた場面。木村は、「閉店ガラガラ」と、お父さんのギャクを使って返したのだ。挑戦者の田中も思わず苦笑い。 　CBCは、挑戦者側の局で、煽り映像もすべて田中を中心に作成されていたが、生番組という“前哨戦”には、一触即発のピリピリとした対決ムードもなくトーク力では王者の木村が“敵地”で圧勝した。 　実は、事前に「岡田結実さんのファン？」などという番組からの聞き取りもなく「本当はファンじゃなかった」とバラしたが、「可愛いからいいじゃないですか」と、臨機応変に対応していたという。 　調印式並びに記者会見は、12時30分から一階のロビーで行われ、番組進行に合わせるため、控え室で何も食べられないまま13時50分からの計量時間を待たされるなど、挑戦者側主導の進行に王者がイラついてもおかしくなかったが、「それはしょうがないし、こういう生番組で試合を盛り上げてもらうのは、いいこと。でもCBCは、田中選手を応援しています、と書いてありましたね（笑）」と、大人の対応。 「今後、どんどんテレビとかも出ていきたいしね」 　200グラムアンダーになった理由は、「いつもはギリギリの体重で仕上げるけれど、テレビの生中継でオーバーなんてことがあってはいけないので余裕をもって落とした」ともいう。 　一方の田中は、番組の終わりに、「生中継？　いつもよりおだやかな感じでしたね、ああいうの初めてです。一本とられた？　そうですか？　番組がおもしろければいいんじゃないですか」と、気持ちは、もう明日のリングへと向かっていた。 「やることはやった。一番頑張ったという自信がある。3階級制覇します」 　自分に言い聞かせるように挑戦者は決意を表明した。 　さて気になるのはタイトル戦の行方である。