【ONE PIECE考察】ベガパンクの配信に漂う違和感…… いよいよ“ひとつなぎの大秘宝”争奪戦の開幕か?
※本記事は『ONE PIECE』最新話の内容に触れる部分があります。連載を未読の方はご注意ください。 【画像】『ONE PIECE』『呪術廻戦』から『スラムダンク』、『進撃の巨人まで』ーー『アイシールド21』作者によるコラボイラストたち 『ONE PIECE』のエッグヘッド編にて、ベガパンクの死をきっかけに始まった映像配信。この配信は衝撃事実の数々を読者、そして作中世界の人間に伝え、物語を大きく盛り上げた。 この行動は世界に計り知れない影響を与えており、今後の物語にも密接に関わってくるだろう。そこで今回はベガパンクの配信の重要事項や影響について、ワンピース研究家の神木健児氏に話を聞く。 「ベガパンクの配信には、さまざまな重要事実がありました。『ONE PIECE』の世界の人が1番衝撃を覚えたのは、“海面上昇による世界沈没”だったと思います。読者である私もびっくりしましたが、配信を聞いていた一般市民はその後の内容が頭に入らないくらいびっくりしたでしょう。ベガパンクが言うからには、その未来は確実にやってきますよね。ワノ国のように新たな土地を作るのか、どのように対処するのかは世界にとって非常に重要です。また、ベガパンクは空白の100年に起きた戦いについて、“善悪を語らない”という部分を強調しているようにも感じました。 読者からすると、ジョイボーイが善で連合軍(後の世界政府)が悪というイメージが強かったと思うんです。でもベガパンクの口ぶりから、そんな単純な話ではなく、どちらにも正義がある戦いだったのかなと感じます。自由と束縛のぶつかりあいと考えても、どちらが正しいかは一言では言えないですよね。エッグヘッド編ではモルガンズの情報操作によって、ルフィがベガパンク殺害の犯人にされてしまいました。そもそもルフィは一般市民からすれば、世界政府三大機関のすべてで大暴れした大悪党です。そこにベガパンク殺害も加われば、いよいよその危険レベルは世界一と言えるでしょう。五老星が間近で見ているのもありますし、ここで懸賞金が世界最高額レベルまで上がってもおかしくない気がします」 ベガパンクの配信では、連載初期から語られる重大な謎についても言及していた。 「ベガパンクの配信では、Dの一族についても言及されました。Dの一族についての部分は配信の乱れで虫食いが多く、そこをすべて明かすのはまだ早いという感じでしょう。虫食い部分は今後明かされ、確実にストーリーと深く繋がってくると思います。配信で判明した事実で、Dの一族に関しての重要事項と言えば、ロジャーの本名が“ゴールド・ロジャー”ではなく、“ゴール・D・ロジャー”であると世界中に知れ渡ったことですよね。そうなると一般市民も“D”に疑問を持つでしょうし、歴史に興味を持ってしまうかもしれません。この行動で“D”の重要性を隠しきれなくなっているのは、非常に重要だと思います」 世界一の天才科学者の配信について、違和感を感じる部分があると神木氏は続ける。 「配信について、個人的に気になっていることがあるんです。それは、なぜベガパンクは配信に映像を使用したのか。たしかに映像で自分自身の姿を映せば、説得力はあります。しかし、受信の手間や準備時間など、重要事実を世界に伝えるにしては、デメリットが大きすぎる気がするんです。とにかくすべてを世界に伝えたいなら、音声でループ再生をしておく方が現実的だと思います。音声であれば、誰かしらがそれを聞いてくれるでしょう。現に10分間の準備時間の影響で、内容が伝わらない箇所もありました。映像にしなければならない理由があったのか、まだ彼の配信には先に繋がるトリックがあると感じます」 世界に衝撃事実を伝える配信は、『ONE PIECE』の常識を根底から覆すような描写で締められていた。 「ベガパンクの配信は、“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”について口にするシーンで終わりました。そのラストでは、四皇を始めとする時代の傑物たちが描かれています。衝撃だったのは、ワンピースを海賊以外も狙う構図になってきたことですね。これまでは“海賊王”という言葉もあるように、ワンピースは海賊の誰かが手に入れる物だと思っていました。しかし海賊に手に入れさせたくない海軍を筆頭に、革命軍や天竜人まで、誰もが争奪戦に名乗りを上げそうですよね。そこにはドラゴンやコビー、ガーリング聖の姿もあり、一気に敵味方が乱れた戦いに突入しそうです。このベガパンクの配信で、物語はついに「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)編」に入ったのではないでしょうか」 ベガパンクの映像配信は、間違いなく世界に小さくない影響を与えた。ベガパンクの言葉によって、傑物たちが火花を散らす瞬間に想いを馳せながら、彼の思惑のすべてが明かされるときを心待ちにしたい。
青木圭介