サウナが根付く国の人々は「控えめでシャイ」。大統領も認める、日本人とフィンランド人の意外な親和性
◆「サウナ島」といわれるロンナ島へ
ただせっかくサウナの本場であるフィンランドに来たら、地元のサウナも味わいたい。ということで、首都ヘルシンキのマーケットから出航している水上バスで「サウナ島」として知られるロンナ島に向かった。水上バスではバルト海を約20分ほど航行すると島に到着。料金は往復で、1人8.5ユーロだ。島にはパブリックのサウナがあり、利用料は20ユーロ。日本と違うのは、水着を着用してから利用し、男女混浴というところだ。 フロントでチェックインを済ますと、サウナの建物に向かい、男女別のロッカールームで着替え、いざサウナに。12人が入れるロフト型のサウナが2つあり、フィンランド人らと一緒に汗を流す。ここのサウナは小さな島ということもあり、水風呂の代わりにバルト海に入って体を冷やす。筆者が訪れたときは、従業員が「今日のバルト海の水温は11度です」と教えてくれた。 そして、海とサウナを往復して「ととのう」のである。ロンナ島には、サウナの後に食事ができる自然派レストランがある。そこで、サウナでととのった状態のまま、ワインを飲みながら食事を楽しむことができる。
◆フィンランド人の90%が週に1回サウナに入る
そんなフィンランドのサウナの歴史は古い。フィンランドでは、諸説あるが、実に2000年も前からサウナが存在していた(紀元前7000年前からあったとの説もある)。もともとフィンランドの森林部で極寒の冬を越えるために、地面に穴を掘り、動物の皮でカバーをして、加熱した石で暖をとっていたことから始まったといわれている。その後、サウナは地上で利用されるようになっていった。 現在では、フィンランド人の90%ほどが、週に1回はサウナに入るほど生活の一部になっている。この文化は、地方などでは住民の憩いの場になっている。筆者が訪れたアパートには住民用の共有のサウナ室が完備されており、住民たちが予約をしてサウナを利用している。 日本にサウナが入ってきたのは、1957年のこと。フィンランドなどから派生した海外のサウナが日本に持ち込まれ、最初のサウナは東京の銀座にできたとされる。その後はどんどん広がっていき、2021年には流行語大賞に「ととのう」がノミネートされるまでになった。 筆者がロンナ島で、バルト海に入った後でサウナルームに戻ると、そこには40~50代の5人の男性と2人の女性のグループがいた。その団体と何気にあいさつを交わすと、こちらが日本人であることに気づいていたようで、「私たちは日本企業で働いている」と言う。聞けば、日本でも名の知れた大手企業の現地法人で勤めている人たちで、同僚同士でサウナに来たという。今の日本では考えられない付き合い方かもしれない。それほどフィンランドではサウナが自然に社会に組み込まれている。 フィンランドのサウナでは、いわゆる「裸の付き合い」が行われる場所でもある。