【高校サッカー選手権】MF硲冬真の決勝弾で阪南大高が桃山学院を下し全国まであと一つ
11月4日、第103回全国高校サッカー選手権大阪予選の準決勝がヨドコウ桜スタジアムで行われ、桃山学院と阪南大高が対戦。MF7硲冬真(3年)のゴールを守り切った阪南大高が1-0で勝利した。 【フォトギャラリー】桃山学院 vs 阪南大高 2日前に挑んだ準々決勝の大産大付属高は相手に先制されながらも追い付き、延長戦の末4-1で勝利。この日は、激闘を乗り越えた安ど感は見られない。令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)の初戦で優勝候補筆頭の大津に勝利しながら、2回戦で福大若葉に敗れた経験は大きく、DF4弥榮琉(3年)はこう振り返る。「大津に勝てても次で負けたら何も意味がないと気付かされた。今日もここで勝たなければ意味がないとみんなで声をかけて意識していました」。 キックオフの直後にMF7硲冬真(3年)がシュートを放つなど序盤からギアを入れて桃山学院を押し込んだ阪南大高の狙いは、ミスマッチが生まれやすい状態になっていたサイドの攻略。上手くサイドを変えながら、「チームの強みであるサイド攻撃を出したかった。サイドは特徴のある選手が多いので、サイドチェンジを使ってスペースがあるうちに仕掛けていこうと話していた」と口にする硲とMF13柏大輝(3年)が積極的に仕掛けて、見せ場を作る。 3分には硲が打ったシュートのこぼれ球を粘り強く繋いで、柏がシュートも桃山学院のDFにブロックされてCK。10分には柏の右クロスをFW16瀬尾優斗(2年)が頭で合わせたが、シュートは枠を捉えることができない。12分にもサイドチェンジを受けた硲がカットインから狙ったシュートもクロスバーに阻まれた。 ワンサイドで押し込みながらも得点が生まれない状態が続いていたが、25分には右サイドから繋いだボールのこぼれ球をMF18岡田翔太郎(2年)がシュート。ゴール前に再びこぼれたところを硲が押し込んで、阪南大高が均衡を崩し、前半を終えた。 得点こそ1点に終わったが、キャプテンのMF6福本一太(3年)が不在でも一方的に押し込めた充実感はある。「何本も決定機を外していたけど、1点入ったので選手が浮かれすぎていた」(濱田豪監督)ため、ハーフタイムには厳しく指摘されたという。エンドが変わった後半は状況が一変。後半3分にはクリアボールをFW10岡村匠真(3年)が左に開いて受けると、中に入れたボールをMF11岸本羽琉(3年)がシュート。立ち上がりにヒヤリとする場面を作られた影響もあって、後半に入ってからは思い切ってラインを上げられなくなった。 「ハーフタイムに指示はしたのですが、上手くいかなかった。うちのやり方に相手が慣れてしまった。今思うと違うやり方を授けてあげた方が良かったのかなと思う」。そう振り返るのは濱田監督で、桃山学院は空いた中盤のスペースでボールを引き出し、攻撃に入っていく。17分には岡村のパスから途中出場MF29新澤大空(2年)がシュート。21分にも岡村のパスから、MF19谷本龍平(2年)がゴール前への侵入を図ったが、DF2藤本瞬(3年)が粘り強く対応し、シュートを打たせない。 33分にはクリアボールからゴール前を抜け出そうとしたFW25岡野宗汰(2年)を弥榮が止めるなどDFラインの選手が集中力を切らさず対応し続け、阪南大高が1-0で逃げ切った。 選手権予選も残るはファイナルだけ。目的地にたどり着くまでは気を緩めるわけにはいかない。「全国に行くことが目標で、そこに立つことがスタートラインだと思っている。まずはそこに立ってから、全国でも上位を狙っていきたい」。そう話すのは福本で、目の前の勝利だけを目指して戦い続ける。 (文・写真=森田将義)