【高校サッカー選手権】藤枝明誠が6-0で浜松工を下し初戦突破。それでも指揮官・松本安司監督が表情を曇らせた理由とは
第103回令和6年度全国高等学校サッカー選手権大会静岡県大会の決勝トーナメント1回戦が県内2つの会場で行われた。藤枝総合運動公園サッカー場では高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 東海の藤枝明誠と静岡県ユースリーグCの浜松工業が対戦した。試合は藤枝明誠が6-0で浜松工に完勝し、2回戦に駒を進めた。 【フォトギャラリー】浜松工 vs 藤枝明誠 藤枝明誠は前半12分、シュートのこぼれ球に反応したMF7平井大都(3年)が決め、先制すると、前半アディショナルタイム40+2分、MF16 波多野泰志(3年)が強烈なミドルシュートを叩き込むと40+5分には、右サイドMF16波多野のクロスに中央・MF7 平井が頭で決め、3-0で折り返した。 後半になり、攻勢を続ける藤枝明誠は19分FW13水上大和(3年)のパスを受けたMF7平井が左足で決め、チーム4点目。25分には右サイドMF9キング栄志(3年)の折り返しにDF4早川銀汰(3年)が決め、5点目。さらに35分にはCKの流れからふたたびDF4早川が決め、チーム6点目となった。 公式戦初のハットトリックに「気持ちいいですね」と話したMF7平井。初戦の完勝に「ことしのインターハイ予選の初戦(2回戦・富士東 0-1)で負けてしまったので、今回はみんなで集中してやっていこうと話しました。そのことが結果に結びつきました」とひと安心の様子。「試合の入りが悪かったですが、ハットトリックできたので」と自己評価80点をつけた。 また目の覚めるようなミドルシュートを決めたMF16波多野。日頃の自主トレが実った見事なゴールだった。「前半は初戦という緊張感のなか、声を掛け合いながら良い雰囲気で折り返せました」と話す一方、課題も。「藤枝明誠の攻撃は長短のパスを使って、ゴールにつなげるのがコンセプト。前半は長いパスが多かった分、もっとゴールにつながる攻撃ができればよかった。もう少しゴールできたと思います」と6得点に満足していない。 大量得点。無失点。初戦突破にも藤枝明誠・松本安司監督は「勝てたことは良かったですが合格点をあげられない試合」と表情は曇っていた。 その理由は強度やプレースピードなどプリンスリーグ東海との違い。守りを固める浜松工は失点しても、必要以上に前に出てこなかったことで本来、やりたかったサッカーをうまく表現できなかったことにある。 「初戦なので仕方のないことかもしれませんが、それにしては…半分くらいしか、力を出せていませんでした」 「相手が前から来ない分、試合全体がゆったりなサッカーになってしました。選手たちが(藤枝明誠)らしく、プレーしていませんでした」 「ほどほどに80分間、こなしたような試合。やるべきことがやれたのか、果たしてそうだったのか…」 思いを巡らす松本監督の表情から消化不良の四文字が読み取れる。 指揮官の脳裏に浮かぶのは2回戦の相手、同じプリンスリーグ東海で戦う浜名。 今季、リーグ2戦2勝と分は良いものの、2年連続で選手権予選・準々決勝で対戦し、いずれも藤枝明誠が負けている。「気を引き締めて、浜名戦に臨みます」と気合いを入れ直す松本監督だった。 (文・写真=佐藤亮太)