勝ち組と負け組がハッキリとしてきたプロ野球新外国人野手の苦悩のなぜ?
プロ野球も開幕から1か月が過ぎ、新外国人バッターの勝ち組、負け組の白黒がつきはじめた。助っ人の名にふさわしい大活躍を見せているのは、中日のビヤン・ビシエド(27)ただ一人。開幕から3戦連発を決めると、対戦カードが一回りして研究された後でも、その打棒は止まらない。 4月29日の試合前の段階で、ホームランダービーではトップタイの8本で並び、打率、打点部門でもランキング2位をキープ。満塁弾あり、サヨナラ弾ありで、戦前の予想を覆して、首位争いを演じている中日の勢いの象徴となっていて、谷繁監督も、「ビシエドが4番の仕事を果たしてくれているのが大きい」と信頼を寄せている。 だが、他球団の新外国人は対象的に結果が出せず苦悩している。中でも横浜DeNAのジェームズ・ロマック(30)は、マイナーで通算200発の触れ込みで入団してきたが、2軍落ちまで経験して打率.104と低迷、チームは新外国人の獲得に動き出している。開幕戦でタイムリーを放つなど華々しいデビューを飾った阪神のマット・ヘイグ(30)も、その後トーンダウン。体調不良に加え、中継ぎ強化というチーム事情も手伝って、現在はファームで調整中。巨人の新4番、ギャレット・ジョーンズ(34)も打率が急降下している。28日の阪神戦でも5回の得点機に凡退、4番の仕事を果たせていない。 一方、パ・リーグでは、メジャー通算162発で、ワールドシリーズを制した4年前のレッドソックスの中心的存在だった文字通り“Vの使者”として楽天と契約したジョニー・ゴームズ(35)は、打率.169、1本塁打、打点7の成績しか残せず、22日に2軍落ちすると、ついに「家庭の事情」を理由に帰国の途についてしまった。2年前にも、同じ元レッドソックスで、メジャー実績のあったユーキリスが途中帰国して、そのまま退団してしまった経緯を考えると、梨田監督が「戦力として考えている」と体裁をつくろったところで、“自然消滅”となるのだろう。楽天も、横浜DeNAと同じく緊急補強のため、新外国人のリストアップを急いでいる。 4月21日の楽天戦で、2本塁打を放ちながら、降雨ノーゲームとなって幻アーチに終わったオリックスのブレント・モレル(29)は、23日のソフトバンク戦で、バンデンハークから正式な1号をマークするなど、上昇気配だが、もう一人の新外国人、ブライアン・ボグセビック(32)は、打率.233と苦悩しており、左腕の和田が予告された27日のソフトバンク戦はスタメンから外された。 では、なぜ、ここまで新外国人バッターの苦悩が続くのか。 日本野球への適応ができないための頭の中の混乱が、最大の理由だろう。ゴームズは、「日本の投手は、メジャーの常識では考えられない配球をしてくる」と語っていた。 メジャーの常識では考えられない配球とは、ボールゾーンの多用だ。先発投手の球数が制限されるメジャーでは、基本的に無駄球は投げずに勝負は早い。ストライク先行、3球勝負はもちろん、バッティングカウントでは、間違いなくストライクゾーンで勝負してくるが、日本では、その常識は通用しない。初球だけでなく、ボールカウント2-1、3-1からでも平気で、ボールゾーンを使ってくる。そのギャップに対応できないのだ。 オリックスの関係者にも話を聞いたが、ボクゼビックも、その日本式配球に対して、もうパニックになってしまって、「ストレート待ちで変化球に対応する」というバッティングの基本スタイルにも、なかなか立ち戻ることができていないという。