勝ち組と負け組がハッキリとしてきたプロ野球新外国人野手の苦悩のなぜ?
元阪神のチームスコアラーだった三宅博氏は、3冠王を獲得したランディ・バースなど成功を収めたバッターも、逆に数多くの失敗した“とんでも外国人”も見てきた。新外国人の成否には、ある共通項があるという。 「日本語を覚えるか、日本の食事が好きか。極端な例えだが、日本の野球、日本の文化に対応できるか否かの頭の柔軟さが重要だと思う。バースは、スコアラー室に頻繁に足を運びピッチャーの球種の癖まで盗んだ。マートンもピッチャー別の配球メモをつけていたと聞く。メジャーのプライドを捨てて日本の野球に対応しようとするかどうかの性格も重要だろう。 ここ数年のトレンドを見ているとドミニカ、キューバ出身のバッターの成功が目立つ。私は、侍ジャパンのスコアラーとして世界の野球を見てきたが、ドミニカ、キューバは、ピッチャーがパワーでなく変化球主体で、低め、外角のボールゾーンを有効に使う。そういう土壌でプレーしていることと、DNAが対応力に優れているのだと思う。 また技術的には、右へ打てること。引っ張り専門のプルヒッターは厳しい。外へ逃げる変化球への対応を迫られない左打者の方が対応はしやすいだろうが、ボールに手を出さない選球眼、我慢も必要になる。ビシエドはそれができているし、フォームにぶれがないね。1か月が過ぎたことで、相手球団のスコアラーには弱点が丸裸にされている。その攻めを上回る対応力をどう見せるかがカギになる。攻め方がわかっていても、そこに投げきることのできるピッチャーは、そう何人もいない。ひとつ間違えばの怖さがあれば、相手のコントロールミスも生まれる。対応と我慢。それがキーワード」 確かに中日は、森ヘッドコーチが築いた“ドミニカルート”が強固で、ビシエドも、そのネットワークを駆使して獲得した一人。阪神もドミニカに詳しいエージェントと契約して情報を収集して、ゴメスを獲得、マテオ、ドリスのドミニカンである。 低迷脱出を誓うチームほど、新外国人に対する依存度が高いのが特徴。チーム編成そのものに問題があるとも言えるが、新外国人の優劣がチーム成績に直結するだけに、どう対応させ、立て直すかがペナントの行方を左右することになる。