「全世界株インデックス」でも30年で430万円の差が…投資のプロが明かす買ってはいけない投資信託
さらに、ターゲットイヤー型は、株式などのリスクの高い資産に投資しているときに大きな損失を被ってしまうと、債券などのリスクの低い資産に切り替わったあとで損失を挽回することはできなくなります。 リスクを抑えるために株や債券などに分散として投資を行うならば、低コストの「バランス型(配分比固定型)」を買っておけば十分です。人気のあるバランス型(配分比固定型)に『eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)』がありますが、信託報酬は年0.143%です。 20年・30年と運用期間が長いことを考えると、信託報酬で年0.3%以上差がつく影響はかなり大きいです。 ◆新NISAで買ってはいけない投資信託③:「テーマ型」の投資信託 「テーマ型」は、世の中の流行や関心に合わせて、特定の企業や業界に投資する商品です。IT、バイオ、シェールガス、SNS、AI(人工知能)、ESG(環境・社会・企業統治)、SDGs(持続可能な開発目標)、仮想通貨(暗号資産)、ロボット、VR(仮想現実)、メタバースなど、投資対象となるテーマはたくさんあります。 新NISAの成長投資枠の商品のうち、約300本がテーマ型となっています。 テーマ型は一見良さそうに見えるのですが、投資信託が作られる時期に問題があります。すでにそのテーマがある程度認知されて、株価が上がりきっているところで作られるため、買った瞬間がピークになっていることが多々あるからです。ピークを過ぎてしまえば、その後の値上がりは期待できません。徐々に資金が流出し、純資産総額も小さくなり、やがて繰り上げ償還されてしまいます。 特にテーマ型は手数料が高いのがネックです。信託報酬は年1.5~2.5%と高くなっています。 とはいえ、魅力的なテーマに投資したい気持ちは理解できます。近年なら「AI」「半導体」関連企業が注目されています。 しかし、そうしたテーマを扱う会社に投資したいのであれば、個別株への投資がおすすめです。今は1株から日本株に投資ができる時代です。米国株は元々1株から投資ができます。 それでも、投資信託がどうしても良いという方は、例えば半導体のテーマに投資したいなら、SOX指数(フィラデルディア半導体株指数)に連動を目指す、コストの安いインデックス型投資信託に投資をするという方法があります。無駄な手数料を支払う必要は全くありません。 新NISAの基本戦略は、低コストの「インデックスファンド」または「バランスファンド」に投資すること。余計なコストを支払わず、手元に残るお金を最大化するという視点が重要です。 文:頼藤 太希(よりふじ・たいき) 経済評論家/マネーコンサルタント (株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に起業。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)など書籍90冊、累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
FRIDAYデジタル