「全世界株インデックス」でも30年で430万円の差が…投資のプロが明かす買ってはいけない投資信託
【全世界株インデックスファンド】は、同じ指数に連動する商品ならどの商品を選んでも運用成績に差はありません。世界株価指数には「FTSE Global All Cap Index(FTSE GACI)」と「MSCI All Country World Index(MSCI ACWI)」の2種類あり、細かい部分で違いはありますが、運用成績はほぼ同じです。 つまり商品ごとの運用成績に差がつかないのであれば、手元に残る資産残高の差は必然と信託報酬の差になってきます。 新NISAで『オルカン』と『eMAXIS全世界株式』にそれぞれ月5万円ずつ投資したとします。運用利率はどちらも年5%だった場合の30年後の資産額の差は次のようになります。新NISAで投資した場合、30年で生涯投資枠1800万円を使い切りますので、30年までを表示しています。 信託報酬は『オルカン』が年0.05775%、『eMAXIS全世界株式』が年0.66%ですので、約0.6%の差があります。0.6%というとわずかな差のように見えますが、運用期間が長くなればなるほど、グラフのとおり大きな差になります。資産額は、20年後は約136万円の差、30年後は約430万円の差となっています。 また、成長投資枠で買える世界株ファンドには、例えば『キャピタル世界株式ファンド』(運用会社:キャピタル・インターナショナル)というものがあります。純資産総額が6086億円もあり人気ファンドの一つですが、インデックス型ではなく、信託報酬は年1.701%となっています。 ’24年3月1時点で運用成績を『オルカン』と比較すると、期間5年の年率は17.37%に対し、『キャピタル世界株式ファンド』は17.68%と僅差で上回っています。しかし信託報酬を控除すると、『オルカン』は年17.31%、『キャピタル世界株式ファンド』は年15.98%となり、年1%の差が生じます。「世界株ファンド」と名前だけで飛びつくのは危険であることが分かりますね。 なお、信託報酬だけでなく「実質コスト」も比較してから判断すべきという声もあります。 投資家が負担する費用には、信託報酬以外に「監査法人に支払われるファンドの監査費用」「有価証券等の売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料」「有価証券等を海外で保管する場合、海外の保管機関に支払われる費用」「外国株式インデックスマザーファンドおよび新興国株式インデックスマザーファンドの換金に伴う信託財産留保額」「その他信託事務の処理にかかる諸費用」などがあります。 オルカンの場合、運用報告書には’22年4月26日から’23年4月25日の1年間で、 (a)信託報酬 19円 0.113% (b)売買委託手数料 1円 0.006% (c)有価証券取引税3円 0.015% (d)その他費用 5円 0.032% 合計:28円 0.166% と記載されています。 投資家が実際に負担するのは、信託報酬年0.113%だけではなく、年0.166%ということです。この実質コストを比べないと正しく判断できないという意見です。