軍事以上に重要なのは、目の前の厳しい経済状況のはずなのに…「防衛増税」開始時期は? 議論の現状を専門家が解説
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。12月6日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「防衛増税の開始時期2案 定額減税との整合性を疑問視する声」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
◆防衛増税の開始時期は2025年or 2026年?
自民党税制調査会の宮沢洋一税制調査会長は11月30日(木)、防衛力強化のための増税の開始時期について「2025年か2026年のいずれかになる」との考えを明らかにしました。ただ、自民党や公明党の一部からは1人あたり4万円の「定額減税」との整合性を疑問視する声が上がっています。 吉田:塚越さん、まずは宮沢税制調査会長の防衛増税に関する発言について、改めて教えてください。 塚越:すでに報じられている通り、政府は防衛費増額のための財源確保として、「法人税」「たばこ税」「所得税」を段階的に増税して、2027年度に1兆円をまかなう方針です。 自民党の税制調査会は先月30日に幹部会合を開いて議論し、宮沢税制調査会長は会合後、この3つの増税の開始について「2025年から3年間、あるいは2026年から2年間という選択肢しかない」と話しました。年末に向けてさらに詳細を決める方針です。 ちょうど去年の1年前に閣議決定した税制改正大綱では、開始時期は2024年以降の適切な時期と濁しており、今年10月には岸田文雄首相が「2024年度からの増税はしない」と表明。要するに、ごにょごにょとしていました。 いろいろ煮え切らない状況のなかで、一気に増税すれば、たばこ業界などに影響が出るため、重い腰を上げて議論に向かうということになっています。
◆与党内でも「定額減税」との整合性を疑問視する声
吉田:この発言について、与党内では「定額減税」との整合性を疑問視する声も上がっているようですね? 塚越:そうですね。一般国民としてもおかしいと思うのですが、例えば公明党の税制調査会の西田実仁(にしだ・まこと)会長は、防衛増税の開始時期について、今年中にこうした話は決められないのではないかと話しました。 どういうことかと言うと、政府は来年1人あたり4万円の定額減税を実施することもあって、「政権が(減税か増税か)どちらに向いているのか、分かりやすく発信することが大事」と強調しました。 来年減税があるのに、再来年か、その次の年には増税ですと今からアナウンスするのはナンセンスということです。自民党内からも異論があり、2026年以降にすべきという議論も出ています。 一方で、今決めないと「決断力がないと叩かれる」と自民党の幹部が嘆いたと、読売新聞は報じています。決断力、要するにメンツの問題で決められても困るというのが正直なところです。