11・5〝北方領土で軍事演習〟ロシア通告 米大統領選の投開票日に標準、日米同盟に揺さぶりか ガバナンス崩壊の石破政権を威嚇
■「安全保障のスペシャリストで固めた」はずの内閣は…
10月の衆院選で、自ら勝敗ラインとした「自民、公明与党で過半数」を大きく割り込みながら、「政権居座り」を決め込む石破首相とその政権についても不安が指摘されている。
石破内閣は、防衛相経験者の岩屋毅外相や中谷元(げん)防衛相、防衛副大臣を務めた長島昭久首相補佐官、元防衛審議官の槌道(つちみち)明宏・首相政務秘書官など、「安全保障のスペシャリストで固めた陣容」(首相周辺)という。石破首相の持論「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」や「日米地位協定改定」を念頭に置いたとの見方がある。
一方で、「石破首相は自身が詳しい『ミリタリー(軍事)』に特化している感が否めない。国際情勢を踏まえた『大局的な安保政策』には不安がある」(自民党保守系議員)との指摘もある。
ロシアによる軍事演習通告を受け、石破内閣として正々堂々と抗議を公表してもいいのではないか。
■ロシア、日米演習に異例の抗議
今回のロシアによる北方領土での軍事活動をどう見るのか。
ロシアの外交・安全保障に詳しい笹川平和財団の畔蒜(あびる)泰助上席研究員は「米国に対する圧力が大きな狙いだろう。ロシアの大きな外交・安全保障戦略は、ウクライナ情勢で対立する米国・西側諸国の軍事的リソース(資源)を分散させ、各方面で負荷をかけることだ。中国との接近や、イエメンのフーシ派を支援する姿勢もその一環だ。北方領土での軍事活動は、共同歩調をとる日本への牽制もあるが、米国はじめ西側にコストをかけさせる狙いがあるのではないか」とみる。
実は、ロシアは、10月23日から1日の日程で、北海道を含めた日本各地で行われている日米共同統合演習に対し、モスクワの日本大使館に「断固たる抗議」を伝達している。
畔蒜氏はこれに注目し、次のように分析する。
「異例の抗議だ。日米共同統合演習にNATO諸国も参加し、北海道でも行われたことへの強い反発のあらわれだろう。5日という日程は米大統領選を狙った可能性もあるが、日米演習を終えた直後という点もポイントではないか。色丹島は過去にも演習が行われているが、1956年の日ソ共同宣言で、両国の平和条約締結後に日本に引き渡されるとなっている。日露関係は引き続き悪化の一途で、交渉のハードルが高くなっている」