連覇を目指した阪神の岡田監督がみせた鬼の顔と仏の顔 最終戦白星も報道陣には無言貫く
阪神3－1DeNA（3日、横浜） 阪神がレギュラーシーズン最終戦を白星で締めた。今季限りでの岡田監督の退任が明らかになった日。指揮官はナインらと勝利のハイタッチを交わすと、報道陣に対応することなく球場を後にした。コーチや選手らに対し、自らの去就を語ることもなかった。 【写真】岡田監督がDeNAに〝報復〟予告？ CSを前にドスの効いた声で牽制、死球禍に「こっちも考えるよ。またきやがったら…」 ナインらに気持ちの揺れが生じてもおかしくない状況だったが、CSファーストステージで戦う大事なDeNA戦。指揮官の下で開花した2年目の森下は「残っているのはCSと日本シリーズ。いい形で最後を終われたら」としっかりと前を見据えていた。 今季は球団初のリーグ連覇を目指し、岡田監督は鬼の顔と仏の顔をみせた。夏場を迎えるまでチーム打率はリーグ最下位。不振の続いた佐藤輝、大山、森下ら主力組も容赦なく2軍調整を命じた。自らが鬼と化すことで引き締めを図った。 一方で、シーズン終盤には選手の元に足を運ぶ姿もあった。チームは9月に追い上げをみせ、最後まで巨人と熾烈（しれつ）な優勝争いを繰り広げた。選手と笑顔で言葉を交わす様子は、「岡田野球」をできる限り伝授しているようにも映った。 監督復帰が決まったときから「長くやるつもりはない」と繰り返していた。昨季から勝利へのこだわりを見せ続けた采配は、選手もコーチも学ぶところは大きかっただろう。常に甲子園で満員の観客を集め、来季90年の節目を迎える球団の顔として、続投を期待する声はあった。「まだ1カ月ぐらい野球をしたい」と話していた指揮官。日本一を目指す戦いはまだ残っている。（嶋田知加子）
