日本企業の収益が“異次元のスピード”で増大、日経平均は「5万3,000円」へ?“33年ぶり”インフレ経済への転換で幕を開ける〈新たなブルマーケット〉にどう向き合うか【相場のプロが解説】
経験則を無視して相場は上昇する
経済活動が活発化し、株式投資が急速に増える時代へ 当然ながら、これが毎年5%増えるとは思わない。ただインフレになってきたら、今度からは仮に実質GDPがマイナスでも、インフレ率でカバーして、名目GDPが増える、稼げるという可能性が出てくる。 ということは、名目GDP500兆円が600兆円、700兆円に伸びるのは簡単で、そうなったときに何が起こるのか。 金利は上がっているから、個人の家計部門の貯蓄がひたすらに増えていく。インフレ経済では、借金が目減りしていくから、借金をしての経済活動も活発化する。 つまり一般的に企業が元気になり投資も増えるのである。 その借金からの投資が経済のレバレッジを上げて経済成長を呼ぶ、それを受けて、日本企業の収益が異次元のスピードで増大する。巨額の余剰資本が株式への投資に向かうのは必然であろう。それはそうだろう、33年ぶりのインフレ経済に転換したのである。 企業が保有する資産である土地、工場の価値は跳ね上がる。さらにそれらにパラレルして国家の税収が増えることが容易に予測できよう。 ここにきて財務省が検討しているのは増税といわれている。もしそれが本当ならば、財務省の見当違いは甚だしい。名目GDPが増え始めたら、増税などしなくたって、とんでもない自然増収が見込まれるからだ。 2023年度は当初見積もりよりも多い70兆円超えを見込んでいる専門家も多い。となると、財政規律にとってはいいことではないかもしれない。 なぜなら、政治家はカネがあればすぐに遣いたがるからである。 新しい強気相場が始まるときは、ほとんど予想外の状況になる それはさておき、現実に税収が想像を上回るほど上がってくると、我々の眼前に何かまったく新しい世界が浮かび上がって見えてくる。 こういう状況について見えていない人は、自らの貧弱な経験則に鑑みて、「これは危ない」と警鐘を鳴らすだろう。1カ月で日経平均が2000円以上も上がったりするのはやり過ぎだと。 たしかに経験則から言えばそうなのだが、歴史を振り返ってみると、新しいブルマーケットがスタートする際には、そのおおかたは信じられないほどのダッシュがつくものなのである。 だから、一般人の経験則を無視して、相場はどんどん上がっていく。2023年12月以降は再び相場の上昇波がやってきそうだ。後は本格的なインフレ経済へと突入していき、日経平均は5万3000円まで伸びていくのだから。我々は何としてもその流れに乗っていかねばならない。
若林 栄四
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