台風10号 小康状態も警戒続く 土砂災害、河川増水の危険、和歌山
台風10号は31日、四国から近畿付近を遅い速度で東へ進んだ。気象庁は、西日本や東日本では記録的な大雨で地盤が緩み、災害の危険度が高まっているとして、土砂災害や浸水、河川の増水・氾濫に厳重な警戒を求めている。 【台風10号、大雨災害に注意 31日午後から和歌山県に最接近の記事はこちら】 台風10号は31日午前9時現在、和歌山県田辺市付近を時速約15キロで東南東へ進んだ。中心気圧は996ヘクトパスカルで最大風速18メートル、最大瞬間風速25メートル。中心の東側280キロ以内と西側220キロ以内が風速15メートル以上の強風域。 午前10時半現在の24時間降水量は、色川(那智勝浦町)122・5ミリ、日置川(白浜町)110・5ミリ、南紀白浜(白浜町)102・5ミリ、栗栖川(田辺市)102ミリ、新宮(新宮市)88ミリ、潮岬(串本町)71ミリだった。 和歌山地方気象台によると、午前10時現在の県内の降雨は小康状態になっているが、引き続き台風の影響で局地的に激しい雨が降る見込みがある。これまでの雨で土砂災害や洪水、浸水の危険度が高まっている地域もあるため、十分注意してほしいと呼びかけている。午前9時現在の予報で台風10号は2日午前9時には熱帯低気圧に変わる予想という。 ■「コロナより厳しい」 白浜町では、夏休み最終盤の31日、例年は多くの家族連れでにぎわう白良浜など四つの海水浴場が遊泳禁止となった。午前中、雨風は強くなかったが、白良浜周辺の温泉街は人影がまばらだった。 町内の宿泊施設では、台風の影響で宿泊キャンセルが相次いでいる。南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表で、書き入れ時の盆休みに宿泊キャンセルが多く出て、経済的に大打撃を受けたばかり。少しでも売り上げを挽回しようと安価なプランを考えるなど、各宿泊施設とも努力していた時だっただけに、関係者は大きなダメージを受けている。 ある観光関係者は「台風の進路が分からなかったことで、影響が長引き、宿泊キャンセルが増えた。自然のことなので仕方ないが、悔しい。経営状態はコロナの時より厳しい」と話した。 ■特急の運休も JR西日本は31日午前、紀勢線御坊―湯浅駅間で運転を見合わせた。特急「くろしお」も運休した。 JR紀伊田辺駅には午前中、払い戻しや運行再開の問い合わせに訪れる観光客らの姿があった。 田辺駅によると、台風の報道に触れていないとみられる外国人客の問い合わせが多く、説明に時間がかかるケースもあったという。
紀伊民報