J2降格で契約満了「商売として意味わからない」 移籍金0に疑問も…見えた最後の配慮【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】周囲でも「もちろん話題にはなっていました」
サンフレッチェ広島は12月24日、北海道コンサドーレ札幌からMF菅大輝を完全移籍で獲得したと発表した。菅はJ2に降格した札幌から契約満了となっており、どこに移籍するのかも話題に。元日本代表DF栗原勇蔵氏は「移籍金のかかる選手より半分以下で取れるのでおいしいですよね」と評した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部) 【実際の映像】「本当悲しい」先輩に声かけられ…菅大輝が試合後にベンチで大号泣の瞬間 ◇ ◇ ◇ 北海道小樽市出身で札幌U-12、U-15、U-18と成長してきた菅。栗原氏は「アカデミーから育ててきて、ゼロ円で出すというのはどうなんだろうなと」と首を傾げる。契約満了のリリースが出ると、周囲でも「もちろん話題にはなっていました。マリノスは菅にけっこうやられているので」と反響はあったようだ。 栗原氏の過去の経験では、「貢献してくれたから次のチームに移籍しやすいように移籍金を取らないことはよくある」という。一方、菅はまだ26歳とまだまだ若い。「このレベルの選手をタダで取られてしまうわけだから、商売としては意味がわからない。札幌にはメリットはないかなと思います」と分析する。 とはいえ、内部の事情は憶測でしか語れないというのも事実。「エージェントとの兼ね合いとか、一般の人には見えないこともいっぱいある。だから一概に、札幌は何を考えているんだというわけではない」としたうえで、「ちょっと普通ではないというか、かなり不思議な感じ。違和感はありますね」という。 札幌は今季J2で戦うため、予算の問題はもちろんあるだろう。栗原氏は「おそらく札幌の中ではそれなりに高いんでしょう」と推測。「本来だったらそれで移籍金を取ってという話なんすけど」と疑問を呈しながらも、12月7日という早い段階でリリースを出したのは、選手への配慮もあったのではと指摘した。 「早めにリリースしてくれた方が次へ動きやすい。そこは選手に対しての配慮なのかなと思います。移籍金ゼロかよみたいな、そういうこともあるじゃないですか。タイミングは大事で、クラブも選手も悪者になりたくないですから」 菅と同時に契約満了になったMF駒井善成も、12月30日に横浜FCへの完全移籍加入が発表。菅も駒井も今シーズンもJ1の舞台で戦うことは決まった。一方の札幌は岩政大樹氏が新監督に就任し、1年でのJ1復帰へ向けてスタートを切っている。この2選手とJ1の舞台で再会することができるのかにも注目が集まる。 [プロフィール] 栗原勇蔵(くりはら・ゆうぞう)/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。
FOOTBALL ZONE編集部