国王は「自身の病」をどこまで共有すべき?ふせるべき? ノルウェー王室とイギリス王室を比較
ヨーロッパで最も在位期間が長い国王の一人、ノルウェーのハーラル国王と、最も新しく国王になったイギリスのチャールズ国王が同時に、健康上の理由から公務を休んでいる。しかし、それぞれの王室がとった国民への対応は非常に異なっていた。 【写真】10代飲酒や、ヘンリー王子のマリファナ事件など、英国王室が"忘れたい"8つのスキャンダル 英国バッキンガム宮殿は2024年1月、チャールズ国王が前立腺肥大症で手術を受けると発表。国王の健康状態を隠さずに発表するのは異例のことだった。チャールズ国王は自らの診断結果を公表することで他の人も検査を受けるよう促したかったのだという。その手術後、バッキンガム宮殿は再び、「先日、国王が良性の前立腺肥大の治療を受けた際、別に気掛かりな問題が見つかり、検査の結果、がんの一種であることが判明しました」と発表した。がんの種類は発表せず、それから数週間の間にお見舞いのカードを読んだり、別邸サンドリンガムで教会の礼拝に行ったり、スナク首相と対面したりするチャールズ国王の姿が写真に撮られてはいたが、バッキンガム宮殿は治療や健康に関しては何も情報をアップデートしていない。 それとは著しく対照的なのが、ノルウェー王室だ。2024年2月末に87歳の誕生日を迎えたハーラル国王は、妻ソニア王妃とのマレーシアでのバケーション中に突如入院した。最初にニュースが流れた時は感染症とのことだったが、その後もノルウェー王室はほぼ絶え間なく情報をアップデート。「国王は一時的にペースメーカーをつけた」とか、「医学的見地からマレーシアのランカウイ島からノルウェーのオスロへと移送された」「たった今オスロに到着した」「脈拍が少し遅くなった」など、次々と続報を発表。また、息子のホーコン王太子も父の病状についてメディアに詳細に話し、そもそも高齢の国王がなぜマレーシアに旅行に行ったのかという質問にまで応えた。 健康問題をめぐる透明性にこうした違いがあるのにはいくつか理由が考えられる。1つには、ハーラル国王はチャールズ国王より11歳年上で、2024年1月にも呼吸器感染症で公務を一時的に休むなど、近年さまざまな健康問題を抱えている。2つ目は、ハーラル国王は国外で病気になったため、入院や移送など状況が日ごとに変わっていたこと。もしチャールズ国王の病状についてもっとアップデートや共有すべきニュースがあったら、おそらくバッキンガム宮殿も近しい形で発表していただろう。