思わぬ誤解、家族間の壁も…育休取得率0%のベンチャー企業で、初めて長期育休を取った34歳男性の話
子どもを通じて、社会の未知の一面をのぞける
岡田さん:子育てにおいては、大変さがフォーカスされがちです。子育て期間は、滅私の期間、我慢の期間だともとらえられていることも多いでしょう。でも、私は「子どもがいる自分は、社会のさまざまな一面をのぞける機会を手にした」と考えています。 子どもをとおして、地域や子育ての世界に足を踏み入れる。すると、どうしても同質になりがちな会社では出会えない人と関係性ができる、これまで知らなかった制度や支援に気付かされる、世間の温かさに触れる機会も増える……など、思わぬ気付きや学びがあり、世界が広がります。「この子がいなかったら、こんな気付きはなかったな」と感謝する日々です。 もちろん、子育ては思いどおりにならないことや苦しいこともたくさんあります。でも、子どもに尽くすだけではなく、子どもをとおして自分自身の世界も広げていく。それが実現できる社会になりつつあると感じています。そういう意味では、育児休暇は新しいキャリアを考えるきっかけでもあるかもしれません。 とはいえ、まだまだ男性の育休取得や父親への情報支援は十分ではない部分もあるのが実情。自社内ではもちろん、ファザーリング・ジャパンでの活動などあらゆる面から取り組んでいきたいと考えています。
まとめ & 実践 TIPS
ニュースなどでは、子育ての大変さや理不尽さがフォーカスされ、子どもを育てることや育休を取ることに対し、不安のほうが大きくなっている人もいるかもしれません。育休を取ってみたら「思ったより優しい世界が広がっていた」と言う岡田さんに、勇気付けられた人もいるのではないでしょうか。
プロフィール 岡田純一 父親支援事業を行うNPO法人ファザーリング・ジャパン所属 夫婦共働き、3児の父。新卒で大手外資メーカ入社後、ITベンチャー企業に転職。現在育児休暇中(取得予定期間:10か月)。