思わぬ誤解、家族間の壁も…育休取得率0%のベンチャー企業で、初めて長期育休を取った34歳男性の話
歓迎ムードも思わぬ誤解が
岡田さん:「育休を取得したい」との私の申し出に、「岡田がやらないとあとが続かないからね」と社長も経営陣も後押しをしてくれました。同僚や人事部も歓迎ムードでした。 とはいえ、規定も制度も何もない中での育休取得は、一筋縄ではいかず……。社内手続きのフローを整えたり、申請書を作ったりという事務作業が大変だったのはもちろん、同僚との会話などで「育休への誤解」が多いことにも気付きました。 育休中は社会保険料が社員負担分だけでなく事業主負担分も免除されること、育休手当(育児休業給付金)は雇用保険から支給されること等※が知られておらず「育休を取ると、業務面だけではなく金銭面でも会社に負担をかける」と誤解している人が多くいました。会社の負担にはならないと伝えると「えー! そうなんですか? じゃあ、みんな育休取ればいいのに」なんて言葉も出たほどです(笑)。 これらの誤解は育休取得のハードルになるでしょう。育休1号として、制度やフローを整えるだけでなく、知識や正しい情報を伝えていく重要性も痛感しました。 ※参考: ・保険料の免除等(産休・育休関係)|日本年金機構 ・育児休業給付について|厚生労働省
ハローワークと人事部の間を行き来し試行錯誤
岡田さん:育休に向けての社内手続きは、ハローワークと人事の間を行き来しながら進めました。第1子の時は、大企業にいたため「育休を取ります」と言えば、進め方を教えてもらえてそのとおりに進めればよかった。でも、当社ではそうはできない。「育休を取りたいです」という控えめな姿勢では難しいと思い、「育休を取ります。つきましてはこれとこれと……」と主体的な姿勢で進めていきました。 ハローワークにはずいぶんお世話になりました。「会社に前例がない」と相談したら、法律に基づいた必要な手続きフローや申請書のひな形を丁寧に教えてくれたんです。 育休取得を進めていく際に意識したのは、急場しのぎで自分自身の育休取得を進めるのではなく、次に続く人が迷わないようマニュアルや、テンプレートを作っていくこと。 会社の人事担当と一緒に、フローを可視化し、周知することに努めました。