シンガポール最大のREIT、オフィス売却価格の引き下げ圧力に直面
(ブルームバーグ): シンガポール最大の不動産投資信託(REIT)、キャピタランド・インテグレーテッド・コマーシャル・トラストは、一等地のオフィスタワーの売却価格を引き下げるよう買い手から求められている。
同社は市内中心部にあるコリヤー・キー21番地のオフィスビルを売りに出している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
キャピタランドREITは当初、21階建てのこのビルを7億-8億シンガポール・ドル(約800億-900億円)で売りに出したが、買い手はそれより大幅に低い価格を求めている。非公表の情報だとして関係者が匿名を条件に述べた。売却希望価格は正味賃貸可能面積に換算して1平方フィート(約0.09平方メートル)当たり3286-3756シンガポール・ドルに相当する。
少なくとも1社の買い手候補が今年、このビルに約6億-7億シンガポール・ドルの価格を提示し、キャピタランドREITは現在も買い手候補と協議中だという。昨年末の評価額は6億4900万シンガポール・ドルだった。
キャピタランド・インテグレーテッド・コマーシャル・トラストの担当者はコメントを控えた。
世界的な商業不動産不況の中で堅調が際立っていたシンガポールの優良オフィス市場だが、売り手と買い手の間には認識のギャップがある。買い手は高金利や勤務形態の変化を懸念し低価格を求める一方、売り手は空室率の低さと都心部の賃料上昇が続いていることを理由に値下げに消極的だ。
キャピタランドREITは2005年にコリヤー・キー21番のビルを1億4700万シンガポールドルで取得した。現在は満室で、コワーキングスペースを提供するウィーワークが2028年までリース契約を結んでいる。
関連記事
原題:Singapore’s Largest REIT Faces Pressure to Cut Office Sale Price(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Low De Wei, Elffie Chew