難民受け入れ多数、イスラエルとも外交関係 独自の存在感を放つ中東の国・ヨルダン
ヨルダンという国を知っていますか? 日本での知名度は決して高くない国ですが、シリアやイラクなどの紛争が続く国々や、パレスチナ問題を抱えるイスラエルと隣接しながらも各国と良好な関係を維持し、国内の治安も安定しています。首都アンマンには国連など国際機関の拠点が置かれており、長年にわたって周辺諸国からの難民を受け入れてきた国でもあります。一方で「中東」の言葉で連想されがちな、石油などのエネルギー資源の産出国ではありません。独自の存在感を放つヨルダン。どんな国なのでしょうか。
ヨルダンは正式には「ヨルダン・ハシェミット王国(the Hashemite Kingdom of Jordan)」で、その名の通り国王を君主とする国家です。「ハシェミット」は「ハーシム家の」という意味で、同家はイスラーム教の預言者ムハンマドが生まれた一族とされます。 外務省などによると、国土面積は北海道と同じくらい。ここに約1000万人の人々が暮らしています。人口の9割以上はムスリム(イスラーム教徒)で、少数ですがキリスト教徒なども暮らしています。
紛争や内戦の起こった国々や強国に隣接しながらも、ヨルダン国内の治安は安定しています。このことから、中東地域においてトルコと並んで「難民の受け皿」として重要な役割を果たしてきました。4度にわたる中東戦争などを経てパレスチナから逃れてきた人々が大挙してヨルダンに入り、その結果、国民のうち7割以上がパレスチナ系の住民とも言われています。 ヨルダンは1994年11月、イスラエルとの外交を結びました。中東・アラブ諸国のほとんどがイスラエルの存在を認めていない中では、エジプトと並んで稀有な存在です。 ヨルダンはまた、2011年3月に発生したシリア危機の影響を最も受けた国でもあります。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の発表では、66万人以上の難民をシリアから受け入れています。ヨルダン政府によると、UNHCRに登録されていない人々を合わせると、シリアから渡ってきた人の数は130万人を超えるとされています。