最多アンダーVの松山英樹、大会前は体調不良だった「動いたりするのは大丈夫だけれど、しゃべるのとかは痛い」
◇5日 米男子ゴルフ開幕戦 ザ・セントリー最終日(米ハワイ州、プランテーションC) 松山英樹(33)=レクサス=が、米ツアーの最多アンダー記録となる通算35アンダーで、自身初の開幕戦優勝を飾った。1打差首位から最終ラウンドを開始し、1イーグル、7バーディー、1ボギーの65でプレー。これまでの記録を1打塗り替え、後続に3打差をつけて逃げ切った。優勝賞金360万ドル(5億6520万円)を獲得。昨年8月のフェデックス・セントジュード選手権以来、5カ月ぶりのツアー通算11勝目。 終わってみれば、松山の圧勝劇だった。開始前は1打差で追うメジャー2勝のコリン・モリカワ(米国)との激戦を予想されたが、まったく寄せ付けなかった。2022年のこの大会でキャメロン・スミス(オーストラリア)がつくった、72ホールのツアー最多アンダー記録を塗り替えた。同年にホノルルで行われたソニー・オープン・イン・ハワイで勝っており、これで米ツアーのハワイシリーズを2大会とも制覇した7人目の選手となった。 序盤から魅せた。3番パー4で、フェアウエー左、残り107ヤードを56度のウエッジでピン手前に落とすと、ボールはそのままカップイン。このイーグルでペースをつかむと、5番パー5でもグリーン奥からピンそばに寄せて、楽々バーディーにした。一方のモリカワは、5番パー5で2オンしながら3パットし、6番も1・5メートルを外して3パットのボギーと、精彩を欠いた。 松山が勝負を決定づけたのは、16番だった。残り77ヤードから56度のウエッジで打った第2打は、ピン根元に落ち、いったん数10センチ先に出た後、バックスピンでカップに入りかけた。惜しくも外れはしたが、2度目のショットインイーグルかと思わせるスーパーショット。モリカワは2メートルほどのバーディーパットを逃し、これで3打リードに。松山は最終18番でツアー新記録を決める2メートルのバーディーパットをしっかり沈めると、右手の拳を力強く握った。4日間の合計バーディー数35も、ツアー記録だ。 大会前、あまり練習していないと話していたが、それは体調不良からだったことを、プレー後に初めて明かした。「プレー中に早藤(キャディー)との会話もあまりしていない。病気は治ったと思うし、動いたりするのは大丈夫だけれど、しゃべるのとかは痛い」という。そんな中、勝利の原動力になったのは、試合で初めて持ち込んだセンターシャフトのパターだ。最終ラウンドも11番の9メートルをはじめ、5メートル前後のラインを次々と入れた。「昨年のクリスマスの後に手に入れた。よかったところは分からないが、よく入りましたね」と振り返った。 今季の米ツアーの日本勢は、昨季からの久常涼のほか、新たに資格を得た金谷拓実、星野陸也、大西魁斗が参戦してくる。次週のソニー・オープンには、平田憲聖、杉浦悠太、アマチュアの松山茉生も加わる。その前に、日本の王者としての貫禄を見せた。2週連続優勝の自信を問われると、「勝手に期待すればいいじゃないですか」と答えた。その素っ気なさもまた、松山らしかった。(写真はAP)
中日スポーツ