大屋根リングはほぼ完成。開幕まで4か月を切った「大阪・関西万博」の工事進捗を見てきた
2025年4月13日に開幕する「大阪・関西万博」。主催者である2025年日本国際博覧会協会は12月下旬、オープンまで4か月を切った現在の状況を一部メディアに公開した。 【画像】外観部分が完成した大阪メトロ中央線の夢洲駅 協会によると発注した工事の進捗率は7割ほどで、遅れが指摘されていた海外パビリオンについても一部の施設は完成間近とのこと。今後は外装の完成とともに内装や展示物の組み立て工事に移っていく予定だ。 今回公開された施設は、夢洲駅側の東ゲート、シグネチャーパビリオンの一つである「いのち動的平衡館」、残念石を使った「トイレ2」、海外のオランダパビリオンと韓国パビリオン、全周2kmの木材で組み上げられた大屋根リング。 ■ 大阪メトロ中央線の夢洲駅と東ゲート 大阪メトロ中央線の夢洲駅から出てすぐの場所に東ゲートがある。夢洲駅の外観も完成した直後で、主張しないスマートなフォルムを眺めることができた。東ゲートの屋根はできあがっており、周囲の舗装工事などが引き続き行なわれていた。ちなみにバス利用の場合は西側にあるバス停に停車し、西ゲートから入場することになる。 ■ シグネチャーパビリオンの「いのち動的平衡館」 大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げており、シグネチャーパビリオンでは「いのち」についていろいろな意見を交わせるよう、8人のプロデューサーがそれぞれのパビリオンを構える。 公開された「いのち動的平衡館」は、生物学者である福岡伸一氏がプロデュースしたもの。名称にも入っている“動的平衡”については「絶え間なく動きながらもバランスを取っている。これが生命が生命をたらしめているもっとも大事な性質」と福岡氏は説明し、現在の混乱した社会において“いのち”とは何かを考える根本的な視点「生命哲学」が抜け落ちているのではないかと訴える。動的平衡をキーワードに、移ろいゆく生命を想起させるような表現を、光を使った展示物で見せる予定という。 ■ 残念石を使った斬新なトイレ 屋外に設置されている「トイレ2」も公開された。こちらのトイレは若手建築家である竹村優里佳氏のチームが手掛けたものだ。大阪・関西万博においては、若手建築家を対象に20ほどの建築物のデザインをコンペで募集した経緯があり、そのコンペで選ばれた一つがこちらのトイレ。 大きな特徴は柱に「残念石」を使っていること。残念石とは、江戸時代の初期に大阪城の石垣を再建する際に全国各地から切り出された石材がなんらかの理由で未使用となったものだ。こちらで使われている石は京都府木津川市が管理しているもので、そのなかの5つを会場に運び込んだ。 テーマに掲げたのは「いのちを持つ庭」で、石をいのちに見立てて考案したそう。地域資源の活用も万博の重要なテーマであると考え、400年前に日の目を見なかった石が現代になって再び脚光を浴びるようになり「過去と現在、そして未来へ思いを繋げられる万博になればいいなと考えています」と話した。 ■ 海外パビリオンは2か所を公開 海外パビリオンはオランダと韓国の建物が公開された。オランダのパビリオン「Common Ground」は、波間から立ち昇る太陽を表現した斬新なデザインが特徴で、中心にある太陽を模したオブジェは直径11mと巨大であり、1970年に開催された大阪万博の象徴とも言える「太陽の塔」の太陽の顔(直径12m)とほぼ同サイズであるとのこと。 コモングランド(共通の基盤)の上に立ち、共感して分かち合うことで、新しい価値をともに生み出していこうという考えをテーマにしている。展示内容は、技術、食糧、健康、気候、文化にフォーカスしたものになる予定。 韓国パビリオンは「With Hearts - Connecting Hearts, Lives in Bloom」の名称で、「こころを寄り添い、いのち花開く未来へ」をテーマにしている。外観の大きな特徴は、高精細なLEDパネルを並べて構成した特大のデジタルサイネージだ。大きさは27×10m(幅×高さ)におよび、LGエレクトロニクスの製品が使われている。 館内には3つの展示場があり、第1館では来場者が参加する音楽的な要素をAI技術でオーケストラに昇華させる体験ができ、第2館では荒廃した都市文明を韓国の技術を使って浄化・再生する体験ができる。第3館では3面構成のシアターで、2040年の未来社会の物語を上映する予定だ。 ■ 世界最大級の木造建築物「大屋根リング」はほぼ完成 最後は大屋根リングの一部を公開。大屋根リングは万博会場の周囲を木材で囲った世界最大級の木造建築物であり、1周約2kmのスカイウォークにもなっている。2024年8月21日に繋がり、現在はエレベーターやエスカレーターの設置、細部や植栽の工事が行なわれている。 もっとも高い部分は20mにも達し、万博会場はもちろんのこと、大阪の街並みや一帯に広がる海を一望できる。実際に上がってみたが、幅が30mあるので想像していた以上に広く、眺めも良好だった。そして、100人近い取材陣が一画に押し寄せてもまったくびくともしない堅牢な造りには感動を覚えた。屋上部分は引き続き緑地化工事を進めており、開幕した際は緑と花で華やかになるとのことだ。
トラベル Watch,野村シンヤ
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