[KWレポート] 時代遅れの非常戒厳 vs デジタル民主主義 (2)
【12月14日 KOREA WAVE】◇汝矣島で「スマホが圏外」にはもうならない…通信会社が「万全の準備」 戒厳軍の国会進入、市民との衝突、そして2時間半での戒厳解除。国民がこの状況をリアルタイムで見ることができたのは、膨大なトラフィックを処理できる通信インフラのおかげだ。電話、メッセージ、カカオトーク、SNS、YouTubeなど情報通信技術(ICT)基盤のコミュニケーションがすべて通信サービスを通すためだ。 一時的な通信遅延に市民が不便を訴えたのも、超連結社会において通信サービスがなければ迅速な情報収集が難しいからだ。YouTubeやFacebook(メタ)、X(旧Twitter)、Instagramなどのオンラインプラットフォームを通じ、リアルタイムで情報が伝達されているのも要因だ。非常戒厳が発令された直後、国民が国会前に集まったり、国会に進入する議員を支援できたりしたのも、この通信インフラのおかげだ。「ライブ放送が戒厳を阻止した」との評価が出るほどだ。 過去には、エジプトのアラブの春、ミャンマーの軍事クーデター、香港の雨傘運動などで戒厳勢力が通信網を遮断した例が挙げられる。韓国でも戒厳法や電気通信事業法には、政府が通信網を制限したり特別措置を取ったりする根拠が明記されている。 そのため、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が戒厳を宣言した当時、政府の統制を受けない衛星通信サービス「スターリンク」に注目が集まった。一部のIT系YouTuberは国内でスターリンクを使用する方法を紹介する動画を公開した。 ◇一時的な通信遅延には不便の声も しかし専門家らは、現状で政府が全国の通信網を遮断するのは現実的に不可能だと指摘する。通信3社(SKテレコム、KT、LGユープラス)の外国人投資家比率が30~40%に達し、韓国政府が一方的に長期間統制するのは難しい構造だからだ。自由に通信サービスを享受してきた韓国で通信網が遮断されれば、政府が収拾できないほどの大反発に直面する可能性も高い。 高麗大学のイ・ソンヨプ教授(技術経営専門大学院)は「戒厳法には言論・出版・集会に関して制限できるとされているが、通信自体は含まれていないため、通信網全体を遮断するのは難しい。ただし特定サイトへの接続を遮断したり、政治家など一部の人物の通話を傍受したり回線を遮断したりすることは可能だ」とみる。 通信3社は14日に控えたユン大統領の2度目の弾劾訴追案の採決に向けて万全の準備を進めている。この日は大規模なろうそく集会が国会周辺に集まると予想されており、円滑な通信サービスを提供するためだ。国会科学技術情報放送通信委員会に所属する議員たちも通信3社に通信網の増設を要請している。SKテレコムは平日も集会参加者を支援するため、汝矣島に移動基地局を常時派遣している。 一方、最初の弾劾訴追案が採決された7日には、通信3社が緊急事態に備え、トラフィックやサービス全般のモニタリングを強化し、汝矣島国会や光化門など集会場所に移動基地局車両を配置した。人々が増加する中、KTは移動基地局を追加派遣した。約100万人が集まる大規模集会だったが、通信会社のモニタリングで「通信障害」と分類される状況は発生しなかった。一部の市民の携帯電話が「サービス不可区域」に陥る不便があったものの、これは「狭い場所に過剰な人数が集まり信号強度が弱まった遅延現象」と説明されている。 (つづく) (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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