お城に似てる?「天守閣」もあった松本パルコ 全国で相次ぐ撤退店舗の一つ 店長が突き止めたバブル期の“誕生秘話”
来年2月に閉店
来年2月末に閉店する、長野県松本市の中心部にある松本パルコ。南側の花時計公園から眺めると、上層階にいくほどセットバックし、一部はピラミッドの先端のようにすぼまっている。パルコによるとデザインのモチーフはなんと国宝松本城。そのことを最後の1年のPR活動に使えないか―。斉藤博一店長が知恵を絞っている。 【ひと目で分かる】パルコと松本城の場所 ともに街のシンボル
外観をよく見てみると…
松本パルコは1984(昭和59)年、もともとあった百貨店「はやしや」の建物を増築して開業。これが「旧館」と言われる建物で、花時計公園からは増築時にしつらえた外壁が3層分セットバックして見える。その外壁の上端部「笠木」が3層とも水平方向に白いデザインを採用している。
「屋根」の部分はどこ?
この笠木の「白」。引用元は松本城だ。「5重6階」と言われる松本城は各層の屋根の端部が白い。これをモチーフにしている。
こんもりと突き出ているのが「天守閣」
旧館を公園から眺めると向かって左手にエレベーター機械室が3層分こんもりと突き出ている。天にそびえるこの形状は「大天守」。その奥から建物の外壁が右に伸びるが、不自然に手前に突き出た部分がある。これは「乾小天守」とされる。
「堀」の場所にはコイが泳ぐ
「堀」もある。花時計公園から向かって右側、レストラン「5HORNDining(ファイブホルンダイニング)」に面した地上部分でコイが泳ぐ池がそれだ。開業当初は向かって左側の旧館の足元にも噴水を備えた池があり、これも堀の一部を形作った。噴水池には「石垣」をイメージした石も使われていたが、これは96年の伊勢町通り側の新館建設時につぶされた。
閉店発表後、建物の由来を調べた店長 先輩社員に電話すると…
斉藤店長によると、23年2月に閉店した千葉県の津田沼パルコの屋上にはかつて米国の「自由の女神像」の小型の像が据えられていたことがある。これに着目して閉店前にレゴブロックで作った自由の女神像を展示し、話題作りに一役買ったことがある。
斉藤店長は23年2月の松本パルコの閉店発表後、建物の由来を調べた。松本パルコの施設管理経験があるパルコ本部の先輩社員に電話すると、松本城をイメージした意匠になっていることを聞いた。
「地元の素晴らしい部分を取り入れようとしたんだろう」
斉藤さんは「出店する松本の素晴らしい部分を取り入れようとしたんだろう」。閉店に向けた広報や企画に生かせないか検討してきたが、なかなかいいアイデアにつながっていない。「松本市のシンボルの松本城と重なるようなパルコの姿をみなさんの胸にとどめてほしい」としている。