石破茂首相VS野田佳彦氏、因縁の衆院予算委で〝攻守交代〟 応酬かみ合わず平行線
5日の衆院予算委員会では、石破茂首相と立憲民主党の野田佳彦代表が直接対決に臨んだ。両氏にとって衆院予算委は因縁の舞台だ。民主党の野田政権時代、石破首相は野党・自民党で予算委筆頭理事を務め、政権奪還を狙って野田氏を追及した。立場が入れ替わった2人の注目の対決となったが、焦点の政治改革を巡る議論は空回りし、かみ合った応酬とは言いがたかった。 【写真】立民・野田代表「食い違い多かった」 ■韓国・北朝鮮動向では認識共有 「こういう形で対峙して大変感慨深いものがある。12年前は私がそちらに座っていた。錚々たるメンバーに連日鍛えていただいた」 民主政権時代をこう振り返った野田氏は、論戦を「ご恩返し」と位置づけて質問を切り出した。 初めに野田氏が取り上げたのは韓国での非常戒厳宣布や北朝鮮の動向だった。 首相が「安全保障の状況が根底から変わるかもしれない」と答えると、野田氏も「次元の違う危機的な状況に入りつつある」と応じ、与野党のトップが東アジア情勢についておおむね意識を共有している姿を印象づけた。 ■政治改革巡り平行線 しかし、政治改革に話題が移ると、やり取りは平行線をたどるようになる。 自民派閥政治資金パーティー収入不記載事件の再調査を求めた野田氏に対し、首相は「新たな事実が出れば、党として調査することもあるだろう」とかわし、要求をはねつけた。 続いて野田氏は企業・団体献金の禁止を主張した。しかし、首相は「禁止よりも公開だ」と譲らず、「いかにして有権者の判断に委ねるだけの透明性、公開性を確保するかということだ」と持論を展開した。 野田氏が「年内に企業・団体献金の問題も含めて決着をつけようではないか」と迫ると、首相は「いつまで、と申し上げることは適当だと思っていないが、いつまでも引き延ばしていいというものではない」。 禅問答のような答弁に、野田氏は「最低限『いつまでに』ということをお答えいただきたい」と食い下がったが、首相は「議論の熟度を上げ、頻度を上げ、どれほどそれが煮詰まっていくかということ」と返し、最後までペースを崩すことはなかった。 質疑後、野田氏は「食い違いがいっぱいあった」と記者団に語り、時期の明言を避けた首相を「無責任だ」と批判した。〝攻守交代〟となった予算委の戦果は、野田氏にとって満足のいくものではなかったようだ。(松本学)