「えいや!」と恋愛しにくい世代 結婚の〝リスク〟はお金、そして… 「イメージを地に足つけたものに」
リスクに感じているのはお金だけでなく
――ビビッと来る恋愛に期待する一方、経済をシビアに考えていることに、若い世代の苦悩を感じます。 結婚後のリスクとして一番わかりやすいものが「お金がない」ということなので、それが例にあがりやすいのでしょう。でも実際、インタビューをしていて、お金のことを気にしているという印象がありつつ、実は具体的な計算までしてる人ってほとんどいませんでした。 つまり、恋愛や結婚に対してリスクを感じていることは、他にもあるということです。 一つは「生活を変えなければならない」と感じていること。自分の好きなことやものを、どこまで諦める必要があるのかを考えています。 そこには「お金がない」ということの影響もありますが、相手との歩み寄りの話でもあります。共に時間を過ごす相手ができることは、イコールお互いの歩み寄りなので、そこを呑める相手かどうかも、相手探しに慎重になる理由になります。 もう一つ、世代の特徴として「周りにあまり影響を与えたくない」という意識の強さを感じます。「迷惑をかけてしまう」ということをリスクとして考えています。 だから、子育てや産休・育休でも、「迷惑かけちゃう」が先行する。なるべく自己完結したいという意思を感じます。
恋愛はいいもの、わかってる 求めているのはhow
――生きていく上で、迷惑をかけるのはお互い様、と思って欲しいと30代後半の私は思ってしまいます……。 ネガティブな話が続きましたが、恋愛はしたいと思っている人は多いです。 恋愛をしたいと思っている若い世代は、「how」を求めています。 「結婚したいし、子どももほしいけれど、どうしたらいいんですか。私のこの状況で」ということです。 だから、少し上の世代ができることは、howをできる限り示せるようにすることと、「結婚」のイメージを地に足をつけたものにすることです。 いまの日本の経済状況をみると、自分の親やそれより上の世代が実現してたものを達成することは簡単なことではありません。 でも、若い世代は自分の両親が一番身近なベンチマーク(指標や基準)で、結婚して、家を買い、子どもがいて……という家族像を「普通」のものとして考えている人も少なくありません。いまの時代にそれを実現することが難しいと伝えるのではなく、「君のいまの状況でも、納得できる幸せは本当はあるはずなんだよ」と伝えられたらいいと思っています。 上の世代が実現してきたものが、自分の世代では叶わないんだと本人が感じたとき、「違う道」を示してあげられるということが多分大事だと思うんです。