トランプ政策に警戒、利下げ停止の「利点」指摘も=FOMC議事要旨
Howard Schneider [ワシントン 8日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が8日公表した2024年12月17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、当局者はインフレが今年も引き続き減速する公算が大きいとの見解で一致した。 同時に、トランプ次期政権が実施する可能性のある政策の影響で、物価上昇圧力が高止まりするリスクが増したという認識を示した。 議事要旨では「インフレ率は引き続き2%に向けて低下すると予想しているものの、足元の予想を上回る物価状況のほか、貿易や移民政策の変更の可能性を踏まえると、従来予想よりも鈍化への過程が長引く可能性があることを参加者は指摘した」と指摘。「インフレ鈍化が一時的に停滞している、あるいは停滞するリスクがあるとの意見も出た」とした。 一部が主張するインフレ鈍化の停滞を踏まえ、利下げしないことの「利点」を指摘する参加者もあり、24年12月の0.25%の利下げ決定は「微妙なバランス」だったと議事要旨は言及した。 こうした先行き不透明感のほか、24年に政策金利が1%ポイント引き下げられていることを考慮し、「大半の参加者は、委員会がさらなる利下げを検討するにあたり、慎重なアプローチを取る可能性があると述べた」とし、現時点ではさらなる利下げのハードルが比較的高いことが示唆された。 議事要旨の発表後、金利先物市場では、FRBが今後数回の会合で政策金利を現行の4.25─4.50%に据え置くとの見方が続き、最初の利下げは早くても25年5月とし、25年に2度目の利下げが行われる可能性も50%程度にとどまっている。 FRB当局者は、不法移民の国外追放や国境の強化、輸入品への関税引き上げを掲げる次期政権が今後どのような政策を打ち出すかを見極めることの「難しさを強調」すると同時に、成長率の鈍化と失業率の上昇につながる可能性があると言及した。 議事要旨では、1月20日のトランプ氏の大統領就任後の政策に関する当局者の評価に関して「最近のデータや政策変更を巡る予備的な仮定に基づくと、実質国内総生産(GDP)の伸び率は従来のベースライン予測よりもやや低くなり、失業率は少し高くなると予測された」と記した。 政策立案者らは、トランプ氏の掲げる政策が成長や雇用、インフレに及ぼす影響を判断するには時間がかかるとも指摘している。トランプ氏は関税の引き上げや移民規制強化のほか、規制緩和や減税も表明している。 トレードステーションの市場戦略グローバル責任者、デービッド・ラッセル氏は「今後数週間は誰もが様子見モード」とし、「FRBはもはやデータ次第ではない。今はトランプ氏次第だ」と述べた。