「資産ゼロで死にたい人」が安心して暮らせる、70歳で必要な「資産と使い方」
老後資金の不安から、資産形成を真剣に考える人は多いでしょう。ですが、ただ、やみくもに資産形成をしても意味はないと人気マネーコンサルタントの頼藤太希さんはいいます。なぜなら、1000万円の資産があれば、1000万円分の経験・思い出を得ることができます。死んだ時に多くの資産が残っているということは、そのお金を使って得られたはずの経験・思い出を得られなかったと考えることができるわけです。そこで頼藤さんの著書『60歳からの新・投資術』(青春出版社)から、自分の寿命に向けて、心の安定=お金の安定も得ながら、資産を上手く使い切っていく実践方法を解説します。 【この記事の画像を見る】 ● 最後は資産を使い切って死にたい? 老後のお金を貯めることは大切です。ただ、それよりももっと大切なことがあります。それは、貯めたお金を上手に使うことです。お金は貯めることが目的ではなく、将来の自分が使うために貯めるものだと言うと、一見当たり前のことに思えるでしょう。しかし、この当たり前ができている人は、意外と少ないようです。 全世界でベストセラーになっている『DIE WITH ZERO〈ダイ ウィズ ゼロ〉 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著)は、タイトルどおり「資産ゼロで死ぬ」をテーマにした本であり、資産形成期に築いた資産を上手に使い切っていくことの重要性を説いています。 「資産を残して亡くなったら、その資産を使うことで得られるはずだった経験を得られなかったことになる。人生で一番大切なのは、思い出を作ることだ」と同書は語ります。
仮にあなたが1000万円の資産を残して亡くなったとしたら、1000万円分の経験ができず、その分の思い出が作れなかったということです。この1000万円を仮に時給1500円で週40時間働いて稼ぐとすれば、ざっと3年4カ月も働かなければなりません。しかし、そうして働いて貯めた1000万円を使わずに死んでしまったら、タダ働きしたと同じことだとも言っています。 よく言われることですが、あの世にお金は持ってはいけません。お金を貯めこんだまま最期を迎えるよりも、資産をできるだけ使い切って最期を迎えたほうが、人生の幸福感は高いのです。豊かな人生を送るためには、「資産ゼロで死ぬ」意識でお金を使っていくことが大事であると念頭におきながら、この後の内容を読んでいただければと思います。 ● でも、生きているうちに資産がゼロに近づくのは不安 「資産ゼロで死ぬ」を実践しようと思っても、実際のところ資産を取り崩していって、最期にゼロにするのはなかなか難しいものがあります。なぜなら、寿命をいつ迎えるかは誰にもわからないからです。寿命を予測して、そこに向けてお金を取り崩していったら、「思ったより長生きしてしまった」ということもあるかもしれません。反対に、資産を取り崩し始めて早々に病に倒れ、そのまま亡くなってしまうこともあるかもしれません。 そこで、将来の不確実性を考慮しつつ「ほぼDIE WITH ZERO」を目指すために、資産の取り崩し期(70歳前後)に入ったら、 ・預貯金 300万~500万円 ・キャッシュフローを生む資産 300万~500万円 を確保したうえで、残りの資産を取り崩すことを考えます。 預貯金の300万~500万円は、病気や介護に備えるお金として、取り崩さずに生涯保有を続けます。