【電子版先行】小岱山一帯、「ナラ枯れ」急拡大 倒木や枝の落下の恐れ<セーフティーねっと=荒尾・玉名地域>
荒尾市、玉名市、南関町にまたがる小岱山で、シイ、カシなどの広葉樹が集団枯死する伝染病「ナラ枯れ」が広がっている。倒木や枝の落下などの危険があるとして、自治体などが、車道や登山道沿いの被害樹木に貼り紙やピンク色のテープを取り付け注意を呼びかけている。 「ナラ枯れ」は体長5センチほどのカシノナガキクイムシ(通称カシナガ)が樹木に潜入して病原菌となる「ナラ菌」を媒介して広がる。感染した樹木は水を吸い上げる機能が低下し枯れる。小岱山では2年前初めて被害が確認され、今年になって一気に広がったという。 荒尾市農林水産課によると、把握しているだけで約100本が見つかっており、すでに小岱山の中腹一帯に広がっている。同課は「薪にするための伐採をしなくなり、カシナガが好む樹齢60年超の大木が増えて被害が拡大した」とみている。 熊本県や関係市町は9月ごろから、被害樹木が登山客らに分かるように、目印の取り付けを始めた。11月上旬も小岱山・筒ケ岳(501メートル)の登山道沿いには、テープや張り紙が取り付けられた樹木が目立った。根元付近には、カシナガが開けたとみられる穴や木くずが多数見られた。
涼しくなり低山ハイキングが本格化するシーズン。荒尾市は「目印の樹木近くを通る際は細心の注意を払ってほしい」と呼びかけるとともに、車道への倒木の危険があるものを伐採する方針だ。 県玉名地域振興局によると、熊本県内では熊本市の立田山や天草市の倉岳でもナラ枯れが確認されているという。(大倉尚隆)