上野のベーカリー「B2D」に注目! すべて手ごねでつくるパンの魅力に迫る
意外にも個人経営のベーカリーが少なかった東京・上野エリア。「B2D(ビーツーディー)」は、そんな上野駅近くに2023年6月オープンした。ここでは、ベーカリーシェフの木村遼介さんが製造から販売までをひとりで手がける。しかもパン生地作りに欠かせないミキサーは置かず、店に並ぶすべてのパンを手ごねで作り上げている。 『エル・グルメ No.40』掲載
かなりの重労働ではないかと心配にもなるが、木村シェフはそんなのどこ吹く風。「手ごねという制約があるからこそ、おもしろいパン、個性的な味が生みだせるんです!」と楽しそうだ。 店内に入ると、カウンターとショーケースがお出迎え。カウンターにはカンパーニュ系、バゲット、食パン2種類が並ぶ。接客も木村シェフが担当。合わせる料理や温め方もアドバイスしてくれる。
ミキサーを使わないパン作りゆえの手間や苦労もあるが、それを上回るメリットを感じているという。 すべてのパンをひとりで作る木村遼介シェフ。東京藝術大学を卒業後、「ブーランジュリー ボネダンヌ」やフランスのパン店で経験を積み、現職に。「自然体で作りたいパンを作っています」。
「ミキサーでこねたパンに比べて、手ごねのパンは歯切れがよくなります。また生地へのダメージが抑えられるのがポイント。やさしく手でこねることで小麦粉に含まれるカロテンが最後まで残り、どのパンもやや赤っぽく焼き上がります」 カリッと&もっちり食感のフォカッチャ生地にマロングラッセとアンチョビを合わせた「栗とアンチョビのフガス」¥530。 甘じょっぱさがあとを引く味わい。国産小麦とふすまをブレンドして、カリッと歯触りよく焼き上げた「クロワッサン」¥300。 パンドミの生地をねじって細長く成形し、歯切れのよさを引きだした「塩あんバター」¥350。塩パン、粒あん、食塩不使用バターのハーモニーが光る。
手ごねの製法に加えて、数種類の国産小麦を使い分け、湯種を多用して多彩な食感を作る木村シェフ。「味よりも先に来るのが食感。まず食感で食べる人を夢中にさせたい」