<転スラ>武闘大会2日目、一度も剣を抜かずに優勝したのはやっぱりあの人で……?
サラリーマン・三上悟がスライムのリムル=テンペスト(CV:岡咲美保)として異世界に転生、さまざまな種族が共に暮らせる理想の国作りに奮闘する「転生したらスライムだった件」(毎週金曜夜11:00-11:30ほか、日本テレビ系ほか/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)。2021年以来となるTVアニメシリーズ第3期では、「魔王達の宴(ワルプルギス)」を経て正式に魔王となったリムルの元へ、魔物を敵視する神聖法皇国ルベリオスの聖騎士団長・ヒナタ(CV:沼倉愛美)が訪れる「聖魔対立編」が描かれ、2クール目からは開国祭に向けての「魔都開国編」が描かれている。第70話(第3期22話目)「勇者との決着」は、武闘大会の決勝戦の様子が描かれた。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】天真爛漫なエルメシアがかわいい(ほか、「転スラ」第70話場面写真) ■天真爛漫なエルメシア、再び 「開国祭」二日目の夜、ガゼル・ドワルゴ(CV:土師孝也)がリムルの部屋を来訪する。目的はテンペストが抱えている商人たちへの支払いの件で、リムルから相談を受けたガゼルが、金貨1500枚ほどを都合してきたのだった。さらにはエルメシア(CV:金元寿子)も姿を現し、同じくリムルへの協力を申し出る。こうしてテンペストは、ドワルゴンと魔導王朝サリオンという2つの大国の力を借りて支払い問題を解決。さらにこの会談では、ガゼルがリムルの後見人となることを約束し、テンペストとサリオンが正式に盟友関係を結ぶなど、隠密的な集まりながらも多くの実りを得た夜となった。 大物ふたりを交えたこの会談では、エルメシアの存在感が光っていた。ガゼルのことを「ガゼル坊」と呼んでからかい、リムルに協力する対価はイベント開催の際の事前相談だけなど、なかなか腹の内が読めないのも相変わらずだ。その後、前夜祭でも見せた「英雄覇気」で威圧感たっぷりに迫ったかと思えば、リムルの意外な返答で素に戻り、屈託のない笑顔を見せるなど、コロコロと雰囲気が変わる様子がとても楽しい。ちなみにこの場でエルメシアがもっとも警戒していたのがディアブロ(CV:櫻井孝宏)で、彼が「原初」のひとりであることに気づいていることにも注目したい。逆にリムルは「原初」が何を意味しているのか分かっておらず、魔王になったとは言え、やはりまだまだこの世界のことには疎い部分があることも確認できた一幕だった。ちなみに「原初」の意味や詳細についてはテレビアニメシリーズ本編ではまだ詳しく語られていないため、今後明らかになっていくことに期待したい。 ■ゴブタ、「四天王」の一角になる! 「開国祭」三日目。前日に行われた「武闘大会」で勝ち上がった勇者マサユキ(CV:松岡禎丞)とゴブタ(CV:泊明日菜)による決勝戦が始まった。前回の戦いをきっかけに、ランガ(CV:小林親弘)と一体化できる新たなユニークスキル「魔狼召喚(おれにちからを)」を獲得したゴブタは、さっそくスキルを発動。ものすごいスピードでマサユキに突撃するも、狙いが外れて壁に激突し、そのまま気絶してしまう。こうして一度も剣を抜くことなく優勝したマサユキだったが、リムルと戦うことを恐れ、自ら勝利を辞退する。すると観客は、この言動はリムルに対する警告であると勝手に勘違いし、会場はマサユキコールに包まれる。一方、マサユキの代わりに優勝となったゴブタは、テンペストの「四天王」の称号を得るも、ミリム・ナーヴァ(CV:日高里菜)にランガとともに連れられ、さらに厳しい修行へと向かうのだった。 注目の決勝戦では、ゴブタの新スキルが披露されるも戦闘らしい戦闘はなく、一方的に自滅したゴブタの気絶で決着した。終始怯えた表情を浮かべるマサユキの描写が面白く、「英雄覇道(エラバレシモノ)」の強制発動によって、周囲が勝手にマサユキを祭り上げていく展開には同情を禁じ得ない。とは言え、マサユキのスキルは恐ろしいほどのチート性能で、戦闘力は皆無ながらも、ある意味で無敵であることが改めて証明された試合でもあった。一方で、優勝してウキウキだったゴブタはミリムの厳しい修行を受けることになるなど、いつも以上にツキのない展開。とくに面白かったのは、相棒として戦ったランガまで修行に付き合うことになり、ミリムに無理やり引き摺られていったシーンだ。これにはSNSでも「引きずられるランガ可愛すぎる!」「そりゃランガもそうなるよねw」などの声があがっていた。ランガは最近、カッコよくて頼もしい一面が強調され続けてきただけに、このシーンで見せたギャップはかなりの萌えポイントだった。 ■マサユキと打ち明けて仲間に… 武闘大会でマサユキのチート能力を目の当たりにしたリムルは、彼とは仲良くしておいたほうがいいと判断し、親睦を深めるためにサシでの食事会を催す。最初こそ少し警戒するマサユキだったが、目の前に並んだ寿司や天ぷら、蕎麦といった日本食に感激し、それらを一気に平らげると、あっさりと「リムルさんの手下でいいです」と告白。勇者という肩書きや自分のユニークスキルが重荷でしかないことを素直にぶっちゃけたマサユキは、さらにリムルが取り組む文化発展の構想を聞き、「リムルさんにずっと付いていきます」と尊敬の念を示すのだった。 これまで、お互いにどこか警戒心を持っていたリムルとマサユキだったが、この食事会で疑念は完全に払拭されたと言えるだろう。日本料理でマサユキをリラックスさせて本音を引き出し、ダンジョン攻略をサポートして親切さをアピール、最後には漫画文化の発展という夢を熱く語ったことで、完全にマサユキを取り込んで見せたリムルの印象操作が見どころだ。転生前はやり手のサラリーマンだったリムルからすれば、ふつうの高校生だったマサユキを籠絡するのはじつに容易いものだったとは思うが、そこに打算や策謀を絡ませないところはさすがはリムルと言えるだろう。冒頭のエルメシアへの対応も含めて、今回はリムルのコミニュケーション能力の高さや人付き合いのうまさが際立ったエピソードとなっている。魔王や国王としてはまだまだ新参者のリムルだが、人心掌握に関してはすでに作中トップクラスなのかもしれない。これにはSNSでも「勇者を手懐ける魔王w」「手下マサユキが可愛いw」などの声があがっていた。さて、次回第71話(第3期23話目)「迷宮開放」は9月20日(金)放送予定。期待して待とう! ■文/岡本大介