大学生の息子がアルバイトで「月10万円」稼いでいます。あまり多いと「親の所得税」が10万円ほど増えると聞きました。子どもが稼ぎすぎると、親は“損”なのでしょうか?
大学生の中には、学費や交際費などを稼ぐためにアルバイトをしている人も少なくありません。親としては貴重なアルバイトの経験を応援したいところかもしれませんが、子どもの収入が一定金額を超えると、親である自分の税負担が増えてしまいます。詳しく見ていきましょう。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
大学生を扶養していると「特定扶養親族」の控除を受けられる
納税義務者である自分に、「配偶者以外の扶養親族」がいる場合、扶養する人数に応じて一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。 扶養控除の対象となる親族は、納税者と生計を一にしており、かつ次の3つの要件全てに当てはまる人です。 1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)であるか、都道府県知事から養育を委託された児童、市町村長から養護を委託された老人 2. 年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下) 3. 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていない。または白色申告者の事業専従者ではないこと。 そして、扶養親族の中でも19歳以上23歳未満の人を「特定扶養親族」といい、親に扶養されている大学生は基本的には「特定扶養親族」に当たります。
「特定扶養親族」を外れるとどれくらい自分が支払う税金は増えるのか?
子どもが「特定扶養親族」の場合、通常の扶養親族の控除金額である38万円よりも多い、63万円の所得控除を受けられます。また、住民税においては、45万円の控除を受けることが可能です。 「特定扶養親族」による控除の金額は年収によって異なります。今回は年収が500万円で所得税、住民税ともに10%だと仮定して計算します。 所得控除の控除金額は、そのままの金額が支払う税金から少なくなるわけではありません。大まかにいうと、所得控除の金額に税率をかけた分について、税金の負担が軽減されています。つまり、年収500万円で所得税、住民税がともに10%の人が「特定扶養控除」によって節税できている金額は次のとおりです。 ・63万円×10%+45万円×10%=10万8000円 そして、大学生の息子の収入が毎月10万円になると、「特定扶養控除」から外れてしまうため、この控除がなくなります。よって、自分の税金の負担は年間で10万円以上増えてしまいます。