「インバウンド増えてるのに航空便を増やせない」深刻な〝空の裏方〟の不足 「グラハン」の働く環境整備を
そこで全日空は、関空での貨物の積み降ろしに、延伸可能なベルトコンベヤーを導入した。これまでは天井の低い貨物室に等間隔で従業員を配置し、バケツリレーの要領で運び込んでいたが、ベルトの上を貨物が流れていくので1人でも対応できるようになったという。 また全日空と日本航空は、4月からグラハンに必要な作業資格の一部を相互に承認することを決めた。主要空港では各グループ企業が業務を担い、それぞれに必要な資格や機材を用意する。だが地方空港では各地の事業者に業務を委託していたため、社ごとに資格を取得したり教育プログラムを受講したりするのは「非効率だ」との声が上がっていた。 相互承認の対象は、飛行機の誘導や移動、旅客の手荷物や貨物の積み降ろしなどの業務に必要な資格。2社が同じ事業者に委託している地方の10空港で行われる。 国も支援体制を強化する。従業員の休憩スペースやランプハンドリングが使用する車両を、共有物として自治体が整備した場合に、負担額の半分を補助する。国交省職員は「地域振興のための観光で、そのための空港整備です。来日する外国人の9割以上が飛行機でやってくるので、自治体にももっと関わってもらいグラハンの処遇改善や離職回避につながれば」と期待する。政府が掲げる大きな目標の実現に向けて、ライフステージの転換期にある若い世代がやりがいを持って働ける職場整備が急がれる。