我が人生の宝 熊本・天草の波について
サーファーでシンガーソングライターの東田トモヒロさんの不定期エッセイ。今回は地元熊本でのサーフィンのお話です。 【写真9枚】天草の西海岸の海は、とても美しいコバルトブルー色の場所も。サーフィンの様子、幸寿司のランチなどを写真で見る
熊本サーファーのルーティーン
暑かった夏も少しずつ遠ざかりね、秋の気配が風の中に漂う今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。 僕はチェット・ベイカーの晩年の作品を小さめの音量で聴きながら、特別な喜びを胸に文章をしたためております。何が特別かって?それはね、ようやく我が地元熊本の天草でのサーフィンについてお話しできる機会に恵まれたからであります、はい。 とある夏の平日に、久しぶりに天草の波を心ゆくまで楽しめた日があったのでご報告します。20年以上前の話になりますが、僕が初めてサーフィンを体験した海は、友人に連れて行ってもらった宮崎は日向市にある金ヶ浜というビーチでした。 熊本に住む多くのサーファー達において、主たるゲレンデは当然のことのように波のコンディションが安定している太平洋側の聖地、お隣の宮崎の海になります。ですから熊本のサーファーにとって波乗りは、毎回ちょっとした越境的サーフトリップになるのです。 朝一番の海に入りたい場合は、夜中の3時ごろに家を出て、2時間半ほどかけて宮崎の海を目指します。そして1ラウンドサーフィンしたらね、御多分に漏れずチキン南蛮定食を近くの食堂に求めつつ休憩して、午後からもう1ラウンド。 夕方帰宅の途につき晩ご飯時に自宅に戻るみたいな、そんなルーティンが僕らにとっては一般的です。そして我々の立場はいつでも純度100パーセントのビジターです。それは宮崎のローカルサーファーの方々を最大限尊重すべき立ち位置であることを意味します。 しかしながらこのルーティンを根本から覆し、真夜中自宅でサーフボードを積んだ車のハンドルを逆サイドに切らせてくれる存在が、東シナ海を湛える「天草の海」なわけです。 県内とはいえ熊本市からだと天草のサーフポイントまでたどり着くためには、宮崎のそれと同じくらいの時間を必要としますし、天草在住のリアルローカルサーファーの方々の存在が優先されるべきですから似たような部分もあるのですが。それでも同じ県内であるという居心地の良さや安心感がね、なんとなくあるのです、僕らにとって天草の海には。