将棋・西山女流三冠2敗目も「充実感あった」 棋士編入試験第3局
女性初の棋士を目指す将棋の西山朋佳女流三冠(29)=白玲・女王・女流王将=が8日、大阪市福島区の関西将棋会館で指された棋士編入試験第3局で上野裕寿四段(21)に敗れ、1勝2敗となった。試験は若手棋士5人を相手にした五番勝負(持ち時間は各3時間)で、3勝で合格。西山女流三冠は、もう1敗もできなくなった。12月に予定される第4局では、宮嶋健太四段(25)と対局する。 【写真】棋士編入試験第3局に臨む西山朋佳女流三冠=2024年11月8日午前、大阪市福島区の関西将棋会館、佐藤圭司撮影 1勝1敗で迎えた本局で西山女流三冠は得意とする振り飛車の中でも、自ら「あまり指していない」という四間飛車で挑んだ。「意表を突かれました」と上野四段。昨年度は新人王戦、今年度は加古川青流戦と若手棋戦で優勝を重ねた実力者の上野四段を苦しめ、強さを示す場面もあった。「中盤は押さえ込まれる展開で、苦しいと感じていた。西山さんの強さだったかなと思います」と局後に上野四段。だが、「軽視していたが、(指されてみると)想像以上に厳しかった手」を上野四段に喫するなど、苦戦に陥ると、流れを変えることは出来ず、109手で敗れた。終局は午後5時27分。終局後、西山女流三冠は「本局、負けてしまったところではあるんですが、新しいこと(四間飛車)も試して、充実感もありました。次回も課題をもって挑めれば、いいかなと思います」と話した。 将棋の「棋士」と「女流棋士」とでは制度が異なる。棋士は、性別を問わず、棋士養成機関「奨励会」で会員同士の対局で好成績を挙げ、「卒業」すれば、プロと認められる四段になれる。ただし、奨励会に女性が在籍した例はあったが、棋士になった女性は、これまでのところ、いない。 西山女流三冠も、奨励会に在籍し、最終関門の三段リーグに挑んだが、惜しくも四段昇段を逃した。 奨励会を経ずとも棋士になれる道として、棋士編入試験があり、棋士の公式戦で規定の好成績を挙げたアマチュアや女流棋士が受験できる。棋士編入試験に挑む女性は西山女流三冠が2人目。最初に受験した福間(旧姓・里見)香奈女流五冠(32)=清麗・女流王座・女流名人・女流王位・倉敷藤花=は0勝3敗で、不合格だった。(佐藤圭司)
朝日新聞社