【全長以外は同じ?】 90とはどう違う ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション
ライバルは身内ではなくドイツのアイツ
個人的にベストな現行ディフェンダーはインジニウム直6ディーゼルのMHEVユニットを搭載している110X D300である。 ディフェンダーの伝統的なキャラクターであるラフで気取らない雰囲気と、それでもプレミアムな部類に含まれる現行ディフェンダーに求められる品格や動的質感がちょうどいい具合に調和しているからである。 調和という意味では、110 V8はちょっとだけ半端なのである。動力性能を持て余しているような感じがあるし、あとは110Xより2サイズ幅が広い275幅のタイヤが生み出す設地感高め、重めのステアリングフィールもディフェンダー特有の軽快感をスポイルしていると思う。 その点90 V8は敢えて調和を崩してかかるような大胆なアプローチが逆に唯一無二の個性になっていると思う。 とはいえランドローバーがディフェンダーのV8モデルで狙っているのは、黒っぽい上級モデルになると3000万円超えも珍しくないメルセデスGクラスであるに違いない。であれば目いっぱい盛装した110 V8でもはるかにリーズナブルといえる。 そして筋肉付きすぎ系というか、決して滑らかとはいえないGクラスのハンドリングと比べれば、ディフェンダー110 V8のそれはクルマ好きの琴線に触れる本質的な楽しさを含んでいる。 サテン仕上げのカルパチアングレイと目が覚めるようなV8の加速が気に入ったのであれば、ランドローバー・ディフェンダー110のV8カルパチアンエディションは買いなのだと思う。
試乗車のスペック
価格:1685万円(税込 オプションなし) 全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm 駆動方式:AWD 車両重量:2450kg パワートレイン:V型8気筒DOHC 4999cc+スーパーチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:525ps/6500rpm 最大トルク:63.73kg-m/2500~5500rpm ギアボックス:8速オートマティック タイヤサイズ:275/45R22(フロント)275/45R22(リア)
吉田拓生(執筆) 小川和美(撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)