冬本番の北海道 大雪に立ち向かう新道具「ナイアガラカット」に、米名門大と共同開発した“発熱するコンクリート”
北海道放送(株)
北海道岩見沢市で平年の3倍近い雪が積もるなど冬本番の北海道ですが、大雪に立ち向かおうと新たな道具や技術が続々と開発されています。 【写真を見る】冬本番の北海道 大雪に立ち向かう新道具「ナイアガラカット」に、米名門大と共同開発した“発熱するコンクリート” 岩見沢市職員 「こんにちは。除雪大丈夫ですか」 スコップを片手に雪山に座り込む高齢の女性。屋根にも雪が積もっていて危険です。 住民 「屋根から落ちた雪を片付けているの。玄関が開かなくて、こっち(裏口)から出入りしている」 岩見沢市の19日朝の積雪は110センチ、この女性は自宅の玄関が雪で埋まり、窓から外に出たということで市の職員が応急的に雪を取り除き、出入り口を確保しました。 住民 「年(明け)前にこれだけの雪、めったにない。(結構楽になりました?)よかったですよ~」 岩見沢市では職員が、19日と20日、高齢者の住宅など約1700世帯をパトロール。 雪庇がないか、ストーブの排気口が雪でふさがっていないかなどを確認しています。 伊藤亜衣 記者 「住宅を見てみてみますと、屋根から大きく雪がせり出しています」 あちこちの住宅の屋根にできた「雪庇」。道路に落ちると歩行者を巻き込む危険性があります。 これを安全に取り除こうと、札幌市のメーカーが新たな道具を開発しました。 車庫からせり出した雪庇をロープでくくって大きな輪を作り、引っ張ってロープを絞ると… きれいに落とすことができました。 雪の塊が落ちるさまは、まるで北米にある「ナイアガラの滝」のよう。名づけて「ナイアガラカット」です。 アルパインクリエイト 福地政弘社長 「屋根の雪下ろし中に落ちて亡くなった方が多いということを聞いて、屋根にのぼらないことを前提に、地上から落とせるものということで開発した」 従来の雪下ろしの棒と比べて雪庇の下での作業が少なく、離れた場所から雪を落とせるので安全性が高いといいます。 アルパインクリエイト 福地政弘社長 「一般の家庭含めてお店など、屋根にのぼってしかできなかった所に対してナイアガラカットがお役に立てればいいかなと」 一方こちらは、最先端の科学技術です。 札幌市の大通公園に設けられた実験コーナー。その名も「雪が溶けちゃうコンクリート」です。 三國谷浩司 記者 「実際に触れてみますと、暖かくはないんですが、冷たさは全く感じません」 不凍液が入ったパイプや電熱線を敷いて雪を解かす従来の「ロードヒーティング」ではありません。 外からは見えませんが、コンクリート自体が発熱しているのです。 北海道苫小牧市に本社がある曾澤高圧コンクリートと、アメリカの名門、マサチューセッツ工科大学が共同で開発した次世代のコンクリートです。 炭素の素材を混ぜ込んだコンクリートで、電流を流すと電子が炭素の微粒子にぶつかって振動し、発熱する仕組みです。 札幌市内のロードヒーティング予算のうち燃料代は約14億円かかっていますが、「発熱するコンクリート」は自然エネルギーのような比較的小さな電力でも雪を溶かすことができ、省エネにつながるということです。 曾澤高圧コンクリート 會澤祥弘社長 「歩道だとか、交差点。リスクが高いところに着実に普及していけば、積雪寒冷地の問題を克服するテクノロジーになる」 メーカーは住宅の敷地で使うことも想定し、実験を重ねたいとコメントしています。
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