英来年度予算、インフレ率押し上げる公算 中銀の利下げ抑制へ
Andy Bruce [ロンドン 31日 ロイター] - 英労働党政権が発表した大型の来年度予算はインフレ率を押し上げる見通しで、イングランド銀行(英中央銀行)は市場の期待ほどには利下げせず、他の中銀とは一線を画すことになりそうだ。 予算責任局(OBR)は、予算は短期的に経済を加速させるがインフレ率も上昇させ、来年の消費者物価上昇率を0.5%ポイント押し上げるとの見方を示した。 OBRは来年のインフレ率を平均2.6%と予想し、従来予想の1.5%から引き上げた。これを受けて市場では利下げ観測が後退した。 11月7日の金融政策委員会(MPC)では0.25%ポイント利下げする可能性が依然高いとみられているが、来年の見通しは不透明感が強まった。 JPモルガンのエコノミスト、アラン・モンクス氏は「英中銀の2年間の予測期間中に、需要とインフレ率は予想よりも高くなるだろう」と述べ、金利を徐々に調整する方針を修正することが難しくなるとの見方を示した。 先物市場では、英中銀が来年末までに0.25ポイントの利下げを4回程度行うと予想されており、予算案発表前の5回程度から減少した。 これに対し、米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は5回程度の利下げが見込まれている。 オックスフォード・エコノミクスの英国担当チーフエコノミスト、アンドリュー・グッドウィン氏は、英中銀が7日までに予算の影響を新たな経済予測に完全に反映させる時間はなさそうだが、大まかな推計は出すだろうと予想した。 「来年はGDP成長率が高まるというOBRの判断に(MPCが)同意すれば、今後1年間の利下げ加速を正当化するシナリオを構築することが難しくなるかもしれない」と述べた。 PIMCOのエコノミスト、ペダー・ベックフリス氏は、「時間の経過とともに、市場の関心は財政からインフレの緩和など根本的なマクロ経済要因に移っていくだろう」と話した。 「時間がたつにつれ、市場が織り込む政策金利の最終到達点が低下していく」と予想した。