「インテル、入ってる」を“無断使用”と多くの企業へクレームも…インテル社の“苦しすぎる主張”の中身
どういうわけか「インサイド」の「無断」使用にキレまくる
ブランド認知度が高ければ、「インテル」にあやかろうとする不届きな輩もいるだろうが、これに対するインテル社の対抗策は興味深いものだった。なんと、「インサイド(inside)」という言葉を使うさまざまな事業者に対し、「インテルへの便乗行為で、誤認混同を招き、国際信義と公序良俗に反する」などというクレームを乱発しているのだ。そ、そっち!? 「インサイド」の方? 「インテル」の無断使用を取り締まれよ! いや、おそらく「インテル」の無断使用も取り締まっているのだろうが、そんな露骨な便乗犯よりも、何の悪気もなく「インサイド」を採用する善良なメーカーの方がよっぽど多いので、「インサイドを使えるのはオレだけだ!」というムチャクチャなクレームの方が圧倒的に目立つのだ。
インテル社の主張の中身とは?
「インサイド」の語を含む商標を登録して、インテルから異議申立を受けた事業者は数多い。KDDI、シャープ、パナソニック電工、安川電機、スパイシーソフトなど、インテルと業界が近しい電子機器メーカーやテック系企業が多いが、花王の「ビューティインサイド」や、ワコールの「BODY SCIENCE INSIDE」など、まったく競合しない分野の大手企業まで、多岐にわたってターゲットにされている。 インテル社の言い分を聞こう。簡単にいえば「○○○インサイド」という「表現形式」は、インテル社の商品を示すブランドとして広く認識されているため、他社が同様の形式を使用すれば、「インテル社の商標が連想され、インテル社の商品であると誤認されるおそれがある」ということである。 これは苦しすぎる主張だ。「インサイド」は「内部、中に」という副詞でしかないし、「インテル・インサイド」の「インサイド」自体、まさにその副詞のニュアンスで使用されているものだ。そうである以上、「インテル・インサイド」のシールを何億枚貼ろうが、CMを何千万回放送しようが、そこからは「インテルが中に入っている」というメッセージしか受け取れないし、「中に入っている」の方をブランドだと思えるはずがない。 まるで「札束を束ねていた輪ゴムを盗まれました! 札束? それは無事です! でも、輪ゴムが!!」などと大騒ぎしているバカ富豪である。どうだっていいだろそっちは。高性能を謳うマイクロプロセッサのくせに、つくづく、ムダなことにリソースを使っていると思う。